■ 白猫ネックの望んだ
『2つ目の 願い』(1/7)

『ある、都内の公園で』


執筆日 2018年 06月02日   最終更新日 2020年 02月21日





秋の午後の 公園に、

ゆるやかな太陽の
光がそそぎ…



やや涼しくなった風が、

サラサラと
敷地を流れていきます。



   





その風に
耳をくすぐられて、


周りの地面から
一段 高くなっている
花壇の中で、

白猫 ネック
ポッカリと
目をさましました。









しばらくは、
トロンとした目つきのまま
横になっていた ネック は、

やがて、

「筆記体の S」のような
形のノビをして、

チョコンと花壇の中に
座りこんだのでした。





あー、よく寝た…


さて…

今日は、何して
すごそうかなぁ。






これは、

ネック
ふき の 家を訪れる、

3ヶ月ほど前 の お話…




場所は、

都心のビル街から
少し離れたところにある、
ちょっと大きな公園
です。




縦横が それぞれ
数100メートルもあり、

大きな池や
グラウンドなどもある、
広くて おだやかな この公園 は、


「都心近くにある それ」
には ちょっと見えず、

初めてフラリと訪れた人々を、
驚かせる
、そんな場所です。


   






そんな この公園の
大きな魅力の 1つ


それは、
人なつっこい ノラ猫たち
の 存在です。


   






誰かに捨てられたり、
どこかから移り住んだり、

この公園で夫婦になった猫から
生まれた子供たちなど、

30匹ほどの猫たち が、

公園の敷地内で
ゆうゆうと
暮らしています。





この猫たちは、

近所の人たちから
ご飯を もらったり、


たまに訪れる人間たちに
頭をなでられたりしながら
暮らしているので、

ほとんど
人間を 恐れません。





見知らぬ人間と いっしょに
時間を過ごす
ことを、

『ごく 当たり前』と 考えて
日々を送っているのです。








そのため、

そうと知らずに訪れて
ベンチに座った人は、

すぐ隣のベンチや、
ときには同じベンチに、

猫たちが 当たり前のように
寝転んでいたり、

ちょっと興味のある目で
こちらを見つめていたりする

ので、ビックリします。




でも すぐに、
そんな猫たちの、

すぐそばにいる
人間である自分のことを
恐れもせずに、

ゆったりと マイペースに
毛づくろいをしている姿

を 見ているうちに、

なんともいえない、

とても安らかで、
おだやかな気持ち

に 包まれ…




この公園への 再訪
心の中で誓いつつ、

名残おしそうに
帰っていくのでした。


   






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