■『恋人』がいるから しあわせ (3/4)





この おじいさんが、

猫に詳しい
知り合いから、

「避妊したほうが、
長生きしやすいですよ?」

て 話を聞いたらしくて、

それで、ね。





ま、正直 あたしも
小っちゃかったから、

よく憶えて
ないんだけどさ…






これは、ふき には
意外な事実 でした。






ただ、そう言われてみれば、

ふき にも 思い当たる
ところがあります。



あの日、あの公園で
ネック と出会ったとき、

やや怖いというか、
キビしい顔つきだけど、

一方で どこか
シットリとした
流れるような雰囲気があり、


「これはメス猫… かな?

その割には、
オスみたいな貫録も
あるけど…」




と、不思議に思ったりも
したのです。



ふき が 感じた、
ネック中性的な雰囲気には、

こんな理由が
あったのでした。






だもんで あたし、

あんたの言う
「恋」ってのが、
感覚的に分かんないし…


多分 これからも、

分かることは無いと
思うのよね…






考えてみれば、

「自分がメスであって、
メスではない」

というのは、


ネック 本人(?)
にとっても、

どうしようもない
心の中の矛盾というか、

悩みどころ でもあった

と 思うのですが…




ネック が、この家に
来てからというもの、

連日 ケチョンケチョンに
怒られてきた ふき の中に、

この話を聞いて、
ネック の 弱みを
握った
ような

優越感
わいたのでしょう…




それで 思わず、

こんな 暴言 が
飛び出してしまったのです。







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