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第3章『しあわせ の「正体」』→ それでは、『しあわせ の 正体』とは…? |
この日、 リビングの真ん中では、 ふき、ネック、 ミューラー、かみね が、 輪を描いて座り、 少し緊張した様子で、 静かに お互いの顔を 見回しておりました… | |
ようやく、 ここまで 来ましたね… | |
ミューラー が、 しみじみと つぶやきました。 | |
ふき の バカが 飲みこみが悪いから、 意外と時間が かかっちゃったよ… | |
カチンと来かけた ふき でしたが、 口出しは ひかえました。 なにしろ、 ついに、 教えてもらえるのです。 『 しあわせの 本体 』 … 『 人生の 本目的 』… 全ての しあわせの 「幹」の部分に該当する、 『本当の、 しあわせの 正体』 について… | |
待たせたね、ふき。 いよいよ、この日が やってきたねぇ。 | |
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あんたや、 あんたたち「人間」が… というか、 あたしたち『生物』皆 が、 「しあわせ」だと 感じてきたものの 『正体』… | |
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それについて、 あんたに 教えてあげられる日が… | |
ふき は、 ネックたちが この家に来て以来 の、 ここ1ヶ月半ほどのことを 思い返していました。 たしかに、 不愉快な経験 も 何度か ありましたが、 ネック や ミューラー の 指摘してきた 『ふき の しあわせ』 の 矛盾点 は、 悔しいけれど、 的を射ていた… 今の ふき は、 そんなふうに 素直に思えるようにまで、 なっている のです。 今までの自分が 「しあわせ」だと 思い込んでいたもの は、 一体、「何」から生えた 『枝葉』だったのか… それが、 ついに ついに、今日、 明らかになる のですから、 ネック の 「小さなイヤミ」になど、 小ゆるぎもしないほど、 今の ふき の 心は、 ピシーン と 張りつめているのです… |
ネック が、まっすぐに ふき の 目を見つめました。 ふき も 自然と、 ネック の 目を 見つめ返します。 | |
耳の穴 かっぽじりなさいよ? ふき。 | |
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お、おう! | |
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あたしたち 「生き物」全部が、 「しあわせ」だと 思っているたものの 『正体』… それは… | |
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それは…? | |
ふき の 口の中が、 ぎゅー… と ちぢみあがりました。 | |
『生きのびれて うれしいなぁ』 って 思える、色んなこと。 ただ それだけのもの なのよ。 | |
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・・・・・・・・・・・ | |
ふき の 脳内に、 30秒ぐらい 一定リズムで 「・」が 並び… それが終わると、 ふき の 絶叫 同然の「感想」が、 リビングに コダマしたのでした。 | |
はぁ !!!??? | |
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ネック の 言葉が ショックすぎて、 「絶叫」した ふき は、 しばらく、 「絶句」の世界を ただよいました。 今、この猫は なんて言った?? 『 生きのびれて うれしいなぁ 』??? な な な なんだ その 意味不明な『正体』って??? こ こ こ こんな メチャクチャ理論 を もったいぶって 言うためだけに、 この猫は ウチに居座って、 毎日 猫缶たべて、 ダラダラ昼寝して、 たまに、 僕の「弁慶の泣き所」に ツメまで立てて… ふき が 怒りのあまり ネック に つかみかかろう としたので、 ミューラー が、 かみね と いっしょに 後ろから抱えこみ、 大あわてで こう言いました。 | |
あ、あの、ふきくんっ。 ネックさん の言い方だと 「ちょっと 分かりづらい」 というか、 『 誤解が 生じそう 』 ですので、 お、怒るのは どうか、 私の説明を聞いてから に なさってくださいませんか…? | |
ブルブル震えながら 鼻息を噴出する ふき を なんとか座りなおさせた ミューラー は、 自分も きちんと 座り直すと、 コホンと1つ、 咳ばらいをしました。 | |
全ての生物にとっての、 「しあわせ」の 正体 … 実は それは、 ネックさんの おっしゃられる通り なのです。 | |
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それは、 生物自身が 「生きのびれて うれしい」 と思える、あらゆる物事 に 対して、抱く気持ち… つまり… | |
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つ、つまり…? | |
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「しあわせ」の正体 とは、 『 己の DNA の 生存確率を向上させる あらゆる事象のこと 』 だったのです。 | |
ふき は、 ネック のときとは 別の意味で トンビ紳士の 顔を 「絶句」したまま 見つめました。 ミューラーさんは、 今、何だって?? DNA が なんとか… とか、 生存確率 が どう… とか、 もう 俺、 頭 壊れそうなんですけど… | |
あの、その… ミューラーさん。 わ、わたしにも分かる言葉で 説明していただけませんか…? 「DNA」が なんとか… とか、 「生存確率」が どう… とか、 む、難しすぎて… | |
茫然としている ふき を 代弁するように、 彼の抱いた疑問を、 かみね が 正に そのまま、 口にしてくれました。 ミューラーも、 自分の言葉が いささか難解だったことは 自覚していたようで… かみね の 言葉に 力強く うなずくと、 こんな説明 を 始めたのでした。 |
『 しあわせの 本質 』… 『 しあわせの 正体 』… そのカギを握る 『 DNA 』 『生存本能』 とは、 いったい 何なのでしょうか?? お待たせをいたしました。 次の章では いよいよ、 『私たち生物の 価値観の正体』 について、 お話を進めさせて いただこうと思います。 |