■ DNA の生存本能で、
『善悪』 について考えてみる(2/3)







いや、けっこう難しいもんだよ、

『 善悪 』 って…


1つ、問題 を出してみようか、ふき

次の場合、どっちが 「善」 で、
どっちが 「悪」 か…


あんた 答えてみ?




う、うん。 いいけど?




「おばあさんが、

孫に お菓子をあげました」。


この おばあさんは、

善 と 悪、どっちだろ?




え! そ、そんな 日常的なことを

「善・悪」 で 考えるの??




抵抗があるなら、

「 善・悪 」 じゃなくて、

「 良い・悪い 」 ぐらいの
軽い感じで 考えてもいいよ?




ふき は、ネック の 言う通り、

『 良い・悪い 』
考えてみることにしました。




うーん…

まあ、普通に考えれば…
「良いこと」 (善) なんじゃないかなぁ。


おばあさんは、
お孫さんが喜ぶと思って、
お菓子をあげているだろうし、

お孫さんは 当然、
お菓子が好きだろうし…




ふき の 頭の中には、
先日の 管理人さんの、

『 他人が喜ぶことは、全て、良い行い 』
という言葉が、浮かんでいました。





うん。

これは まあ、
そんなとこだろうね…




正解かどうかは分かりませんが、

ネックは そう言って
うなずいています。




じゃ、次ね。

実は、「この子のお母さんは 最近、

子供が虫歯になると困るので、
お菓子をあげるのを控えてた」
んだって…


だとすると、
おばあさんの やった事は、

善・悪、どっちになるんだろうね?




…え?




ふき が、ちょっと固まりました。


ただ、すかさず頭を働かせて、

こんなふうに 答えたのです。




そ、そうだなぁ…


おばあさん自身は、

「子供に喜んでほしくて」
お菓子をあげたんだろうし、

「お母さんの そうした
育児方針も知らなくて」、

悪気は無かった のかもしれないけど…





もしかしたら、

「お母さんに とっては」、

おばあさんは 『 悪 』 に
なっちゃう…
のかな?





ふきは、そんなふうに答えながら、

今まで疑いもしなかった
管理人の おばさんの話に、

ちょっと ヒビが入ったような
気がしました。




ネック は その答えにニヤリと笑い、

ミューラー も ほほえみながら、
「うんうん」 と うなずいています。




続けるよ? ふき

じゃあ、「お菓子をもらった子」
に とっては、どうだろうね?


お菓子が好きな子だったら、
それをくれる おばあちゃんは 『 善 』


「お菓子なんか食べちゃいけません」
と言って、取り上げるお母さんは、

自分のやりたいことを
させてくれない 『 悪 』

みたいに 感じるんじゃないの?





「あ、あれ…?」






ネック の 話が進むにしたがって、

「 善 と 悪 」 が、
何度か引っくりかえっている

ことに気づいて、

ふき は ギョッとしました。




そして、そんな ふき の混乱に
追い打ちをかけるように、

ミューラー が、こんなことを
言い出したのです。






さらに、その光景を 「第三者」 が見たら、

はたして、3人の姿は、
どう映るでしょうね?


『 孫をかわいがる、良い おばあちゃん 』 か、

『 孫の健康を気づかえない、
悪い おばあちゃん 』
か…


『 子供の健康を第一に考える、
良い お母さん 』
か、

『 子供を束縛し、祖母の気持ちを踏みにじる、
悪い お母さん 』
か…


『 自分の欲望に素直な、良い子供 』 か…

『 母親の 「子供を思う心」 を理解できない、
身勝手な 悪い子供 』
か…





えーと…

え?  
ええ??  えええ???





なんということでしょう。


「単体(本人)の視点」 で考えていたときは、
とても明瞭に見えた 『 善 と 悪 』 が…


3人それぞれの価値観を、
他人と組み合わせたり、

それを見ている第三者を
配置していくにしたがって、

見え方が、どんどん
変化していってしまう
のです…




横で話を聞いていた かみね も混乱して、

ふき と、ネックミューラー の顔を、

かわるがわる 忙しそうに
見るばかりでした。










[章の 目次 に戻る]