■ それぞれの思いの底に
あったもの 2(3/3)

『母親に なりたかった猫』





「DNA」「知識」という
違いはあっても、

ネックさんが
積み上げてきたもの』
が、
ネックさん以外の生物…

ふきくん」の中で
生き続けるのですから…





そのとき ふきくんは、

いわば、

ネックさんの子供』
になるわけですね。






ふき は、
思い出していました。


あの日の、
ネック の言葉
を。








『 そんな(避妊手術を受けた)
あたしだから、


あんたのトコに
来ようと思った 』








メスであって メスではない
ネック だからこそ、

「自分の知識」「生きた証」を、
誰かに伝えたいという思いが、
人一倍 深かった
のです。



文字通り、

『自分の命をかける』
ほどに。






ふき は、

ネックが 自分のほうを
見上げていることに
気づきました。


  




照れ笑いのような
その顔は、

「自分でも気がつかなかった、
心の深い奥底の 思い」
を、

自分以外の誰かに
教えてもらった、

そんな
驚きと 照れくささ
満ちておりました。




ふき も また、

照れ笑いのような笑顔
応えたのでした。



この小さな、

自分の『育ての母親』に…


  

  





ようやく ようやく…

ふきくんの中に
本来の『記憶』が戻り、

ふきくんは、
「本来の ふきくん」に
なれました。



しかし、
『いつか 宇宙が無くなってしまう』
という悲しい事実には、
なにも変わりありません。


「われわれ生物は、
それを回避できるのか?」


できるとしたら、
「そのために 今後
できることは何なのか?」



次の章では、

その『可能性』と『ヒント』
探りたいと思います。





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