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前に あたしを飼ってくれてた 人間の おじいさん の 家にいたころは 当たり前 みたく 使ってたけど… | |
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ノラになって、 地面に落ちてるものを そのまま食べるように なってみると 『「お皿」って 便利だったんだなぁ…』 て ビックリしたよ。 | |
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あの公園の近所の人間が、 あたしの ご飯を 「皿」に入れて持ってくる ようになったときは、 『 食べ物が汚れない 』 ってことに、 あらためて、 すんごく感動した のを 憶えてるなぁ… | |
ネック が そう言いながら、 爪の先で「ごはん皿」を 軽くはじくと、 チィン という 陶器の涼しい音色が、 ふきたちのいるリビングに さわやかに広がりました。 そんな陶器の響きが 静まる頃… ミューラー が、 少し寂しそうな顔で、 こんな話を はじめました。 | |
ただ… 「コンピュータ」や 「インターネット」は まだしも、 『筆記用具』や『食器』は、 「太古」からある 偉大な発明だけに、 最初に作った人も 不明 です。 | |
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われわれが 『 感謝 』を 伝えたい、 その 偉大な先人の名前が 分からない というのは… 考えてみれば、 とても 寂しいこと ですよね… | |
ミューラー の 言葉に、 ふき も しんみりと うなずきました。 「ありがとう」を 伝えるべき相手が 分からない というのが、 こんなにも、 寂しい気持ち を わかせるものなのか… というのは、 ふき に とっても 本当に意外な「発見」でした。 そんな ふき に、 ミューラー が 続けました。 | |
ところで、ふきくん。 私が先ほど お話しした 『 おもしろい偶然 』 の 件なのですが… | |
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実は、まさに この、 『 発明者が 誰か分からない、 偉大な発明の1つ 』 についての事 だったのです。 そう、つまり… 『 車輪 』ですね。 | |
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…え!? 『 車輪 』?? | |
そういえば、 以前にテレビか何かで 聞いたことがあります。 紀元前 3000〜4000年頃 に 発明された 『車輪』は、 それまでの、 「運搬による労力の負担」を 大幅に軽減 させ… その後の文明を 大きく前進させた、 『偉大な発明の1つ』 である という話を… |