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ねこぢる | |
『 ぢるぢる旅行記 インド編 』 |
白昼夢のような 不思議な雰囲気と、 残酷性や不条理さを あわせ持つ作風で知られた 「ねこぢる」さんが描く、 インドの 貧乏旅行記 です。 この手の 海外旅行記は、 特に、行き先が 発展途上国である場合、 やたらと「現地人の素朴さ」を 褒めたたえ、 やれ「これこそが人間の真の姿」だの、 やれ「文明に汚された日本人は、 彼らにこそ学ぶべき」だのと、 作者の一時的な陶酔と美化による 薄っぺらい「説教」の押しつけが 鼻につくものですが… (「旅」という環境の変化で不安感がわき、 それが旅先での他人との出会いを 過剰に美化するからでは? と、 自分は考えています ) 当作の筆者は、 自分たちの旅行を 『 汚い場所でもいいから、 あまり お金をかけず、 ちょっとバング (インドでは合法の「大麻」) なども楽しみつつ、 ダラダラと自堕落に 現地で すごしたい 』 といったスタンスで とらえているようで、 むしろ「聖人ぶった読者」なら、 読みながら1ページごとに 筆者を「説教」したくなるほど ではないでしょうか?(笑) 「ねこぢる」さんと その夫は、 現地のインチキ臭い チケット屋で買った切符で、 座る場所すら ほぼ存在しない ゴッタ返しの「寝台車」に乗って 600キロをゆられ… 地元の人々の 日本人への さまざまなタカリに ウンザリし… 大麻ジュースを飲んで 夢見心地になったり、 現地の不衛生ぶりや ケチ臭さに苦笑し、 現代の日本では まず体験できないような、 『 死や貧困が ごく日常にある風景 』に 多数 出会っていきます。 しかし、 その1つ1つの場面において、 「ねこぢる」さんは ほとんど、 自らのイデオロギーを 語りません。 「ふーん、この土地では こういう感じなんだ」 ぐらいの視点で、 ただ 淡々と、 軽いユーモア と、 ときにチラリと するどい考察 を交えて、 自分の目にした 「現地の 現実」を 描写していきます。 そのおかげで、 他の漫画家さんが描けば 大問題になるような場面も、 なんとなく読み進めれて しまうから不思議です。 ( 後になって よくよく考えてみて、 ゾッとさせられる場面もありますが(笑)) この作品が描かれたのは 1995年ごろからであり、 したがって 現代のインドとは 社会状況が異なる 可能性も高いのですが… 今の日本では まず経験できない (しかし、過去や未来の日本 には おそらく存在した・する と思われる) 『 自分の日々のことで 精いっぱいすぎて、 「死」すらも重要視しない、 できない日々 』を、 薄っぺらいイデオロギーに 邪魔されることなく 疑似体験できる この本には、 得がたい価値がある と考えます。 シンプルな絵柄ながら、 不衛生・不道徳・やや残酷 な 場面も多いので、 「読む人を選ぶ作品」 だとは思いますが… あなたの価値観を 広げてくれるであろう当作品 を、 僕は 強くお勧めしたいです。 |
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