サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第1章『オレって しあわせ!』
『恋人』がいるから、自分は幸せ


■『恋人』がいるから、
自分は幸せ


『恋人の いないヤツは、
人生 終わってるw』


執筆日 2012年頃   最終更新日 2023年 10月11日





『愛』こそ
全てなのさ!




そんな J-POP の
歌詞のようなセリフ
を、
キラキラお目々で語る
ふき でしたが…



ネック は、そんなことより、
さっきからの 耳のかゆさ
ガマンできなくなり、

後ろ足で自分の耳を
かくのに夢中で、
ふき に、目すら
合わせてくれません…


  









ふぅ、お待たせ…

何が「全て」だって、
ふき




10分近く待たされて、
半泣きになっていた ふき でしたが…




ネック の手(足?)が
空いたのを見て、

ようやく 先ほどの元気が
よみがえってきました。




愛ですよ、「愛」

エル・オー・ブイ・イー、
『ラブ』っ!

人は 愛するために
生まれてきた
のさ!




もちろん このオレにも、
世界で たった1人の、
かけがえのない彼女
が いるよ!


彼女と一緒にいると、
『 自分は 世界一の
しあわせ者だな〜 』

という実感が 湧いてくるんだっ。




なにしろ オレは、

『彼女と出会うため』に
産まれてきたんだからね〜






つっこむべきか どうか
悩んだ ネック でしたが、




ここは まあ、
スルーしておくことに
しました。




そんな 幸せな
オレに言わせれば、

「恋人が いない奴ら」が、
もう かわいそうで
かわいそうで…




彼女と 町を歩いてても、

そんな憐れな男どもの
ネタミの視線
が うるさくて、

ほとほと 困っているんだよ〜〜





そんなふうに
気持ちよく話し終えた ふき が、
ふと 気づくと…


ネック が、何やら ちょっと
考えるような顔つき
で、

じっ と、こちらを
見つめています。






( オレ、なんか
マズいこと言ったか?

また なにか
怒られるのか…?? )



…と、急激に不安になった
ふき でしたが…


ネックから 返ってきたのは、
意外な言葉 でした。





【下へ 続きます】



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『メスなようで メスではない、
白猫ネック』





…えっとね。

ごめん、ふき


あたし 正直、
よく分からない んだわ、
『恋』ってのが。





人間と ネコの 違いはあれど、

『恋が 分からない』
なんて事あるの…??





と 混乱している ふき に、
ネック は 続けます。




あんたには まだ
言ってなかったけどさ…

あたし 小さいころに、
『 避妊手術 』
ってやつを 受けてるの。




あんたと会った
「あの公園」に、
あたしが住むようになる前…

「人間の おじいさん」と
暮らしてた頃
にね。




この おじいさんが、

猫に詳しい 知り合いから、
「避妊したほうが、
長生きしやすいですよ?」

て 話を聞いたらしくて、

それで、ね。




ま、正直 あたしも
小っちゃかったから、

よく憶えて
ないんだけどさ…





これは、ふき には
意外な事実 でした。





ただ、
そう言われてみれば、

ふき にも 思い当たる
ところ
があります。



あの日、あの公園で
ネック と 初めて出会った とき、

やや怖いというか、
キビしい顔つき
だけど、

一方で
どこかシットリとした
流れるような雰囲気

があり、



これは「メス猫」… かな?

その割には、
「オス猫」みたいな
貫録も あるけど…



と、不思議に思ったりも
したのですが…


ふき が 感じた、
ネック の「中性的な雰囲気」には、
そんな理由が あったのです。





だもんで あたし、

あんたの言う「恋」ってのが、
感覚的に分かんないし…


多分 これからも、
分かることは無い

思うのよね…






考えてみれば、

『自分が メスであって、
メスではない』

というのは、


ネック 本人(?)にとっても、
どうしようもない
心の中の矛盾というか、

「悩みどころ」でもあった

と 思うのですが…






ネック が、この家に
来てからというもの、

連日 ケチョンケチョンに
怒られてきた
ふき の中に、


この話を聞いて、
ネック の 弱みを握った』ような、
勘違いの 優越感
フッと わいたのでしょう…






それで 思わず、

こんな 暴言 が
飛び出してしまったのです。





はは〜ん、なるほど!

ネックさんは
『女モドキ』だから、


恋の すばらしさも
分からなかった

んですね〜〜!







いつも 勝ち気
ネック の 表情が、

ほんの一瞬、

とても 弱々しく、
寂しげになった
ような
気がしました…







後に ふき は、
このときの自分を一言を、

『全て』が 分かってから、
深く後悔することになる

のですが…



この日のことを
思い出すたびに、

その 後悔を、
ささやかながらも
やわらげてくれる
のが、


その直後に ネック が、
ポツリと こぼした、
『この言葉』でした。




まぁ… そうかもね。


でも、

『 そんな あたしだから 』
あんたのトコに来ようと思った

わけだし…




不思議で 面白いよねぇ、

「この 世の中」って さ。






意味不明な ネックの 言葉
その 真意 を、
ふき が 知ることになるのは、

まだまだ、
先の お話 です。





【下へ 続きます】



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