★ トンビが街にやってきた(1/7)
(ミューラー登場)





あの… 失礼します。


ふきくん の お住まいは、

こちらに
なりますでしょうか?





ふき の住む
マンションの部屋の玄関に、

そんな、品を感じさせる
男性の声が響いたのは、


白猫 ネック との話が、
意外な方向に 転がりだした
矢先
でした。





ふき は正直、

予想もしていなかった
ネック深刻な態度に、

うっすらと
怖さのようなものを
感じていたので…

  




突然の訪問者の声に、
グッドタイミングで救われた

ような気がして、

すぐさま 玄関へと
走ったのでした。






ところが…


玄関のドアを開ける前に、
ドアのスコープで
外を覗いてみた ふき は、

「ん??」と、
スットンキョウな
声をあげて、

動きを止めて
しまいました。



レンズの向こうに、

誰の姿も
映っていなかった

からです。







…おかしいな?

待ちくたびれて
帰っちゃった
のかな。


結構 すぐ来たつもり
だったんだけど…




首をかしげながら、
カチャンとドアを開け、

左右にのびる通路を
見渡しましたが…


やっぱり、
誰の姿もありません。






そのとき、
先ほどの声 が、

地面から湧き上がるように
ふき の 耳に届きました。




ここです、ここです。

ふきくん。






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