サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第2章『それって、しあわせ?』
南方からの客人


■ 南方からの客人(2/5)

『来たのは 鳥だ
(しかも しゃべる)』





しばらく、

ぼんやりと
その鳥を見つめていた
ふき でしたが…





突如、目をいっぱいに見ひらき、
「金切り声」を上げました。






わ わ わ

ワシ だーー!





絶叫した ふき は、
その場に みっともなく
引っくり返ってしまった

のですが、


鳥のほうも、
ふき の 声にビックリ仰天して、
その場に 引っくりかえって
しまいました。








玄関の前で、ともに
引っくりかえってしまった

ふき



しかし、
先に冷静さを取り戻した のは、
訪問客である
のほうでした。



鳥は立ち上がると、
カッターシャツに ついたホコリを
羽根でパタパタと はたき、

りりしくも あたたかい
ほほえみ
を浮かべて、
ふき に 挨拶をはじめました。




お久しぶりです、
ふきくん。



私、以前に ふきくん と
海辺で お会いした
ことが
ある者です。




1ヶ月ほど前
ことなのですが、

憶えておいででは
ないでしょうか?




あ。 ちなみに 私、
「ワシ」ではなく
『トンビ』になります。


「トンビが タカを産む」
「トンビに 油揚げをさらわれる」

などの ことわざ で、
人間さんたちに おなじみの、

あの『トンビ』です。




…よく考えてみると、

あまり 良いことわざに
使っていただけておりません
ね。

私たち「トンビ」は…





サラサラと流れるように
話し続ける このトンビ…

よほど「話好き」のようです。



というか 本来、
『トンビが 人の言葉を話す』
のは、
ありえない異常事態
なのですが…



すでに、
「しゃべる猫 ネック」
1週間ほど暮らしている
実績(?)が あった ふき は、




そのあたりは、
スンナリ受け入れるというか、
考えるのをあきらめて しまい、



そ、そうなんすか…

いやオレ、「鳥の種類」って
よく分かんなくて…



…と、

腰を抜かしつつも
トンビに「勘違い」を詫びた
のでした。




もっとも 当のトンビは、

そうした勘違いは
さほど気にしていない様子で、

ふき の 顔を見上げて
ニコニコしております。







そんな
気さくなトンビ を、
マジマジと見つめているうちに…


ふっと、
ふきの 脳裏に、

ある光景
よみがえってきたのでした。








[章の 目次 に戻る]