■ 「若さ」 は、宝くじ と同じ (1/2)






まず、あんたご自慢の
「 若さ 」 だけどさ、ふき



あたしには、

なんで 『若い = 幸せ』 なのか、

さっぱり分からないんですけど?







ふき にとっては むしろ、
ネック の この疑問の意味のほうが
さっぱり分かりません。






だってさ、若さ だよ 若さ!!

若さは 無限の可能性 を秘めてんだよ!

若さだけは、どんなにお金もってたって
誰にも買えないじゃん!!








ネック は、
小さくうなずきました。




「若さは、お金では買えない」…

て ところは、

あたしも その通りだと思うよ?






でもさ。

「若いから、年配者よりも
無限の可能性があって、すばらしい」


てのは、違くない?



あたしに言わせりゃ、「若さ」 って、

『 宝くじ 』 と同じ だと思うんだけど?








この言葉にカチンときた ふき は、

口の脇からツバの泡を吹くほど
怒り、わめき出しました。







ふき にとっては、

『 若さ = 無限の可能性 = すばらしい 』

という箇所こそが重要だったのに、


それを 宝くじ などと
意味不明な言われ方をしたので、

頭に血がのぼってしまったのです。







この後、詳しい説明に入ろうかと
思っていた ネック でしたが、

ふき の この姿に あきれて、


「チッ」 と不快そうに 舌打ちして、
横を向いてしまいました。













それを見て、

ちょっとあわてて
捕捉 を買って出たのは、

新たに 議論に加わったトンビ紳士、
ミューラー でした。





ふきくん。 私 思うのですが…


ネックさんは、
こう言いたいのでは
ないでしょうか?








それまで激怒していた
ふき でしたが、

ミューラー の一言に、
ちょっと立ち止まりました。





客人である このトンビの話には、
さすがに耳を傾けないと… と、

彼なりに、気がついたようです。









「宝くじ」 というものは、

当選発表があるまでは、
それが 「どの程度の当たり」 になるかは、
誰にも分かりません
よね?



数千円程度の、
つつましい お小遣いに
なるかもしれませんし、


何千万円、何億円といった、
人生を左右する大金に
バケるかもしれません…







『若い』 ということは、

その点では 「宝くじ」 と
似たところがありますよね。


誰もが、将来において
成功する(当たりになる)かもしれない
「可能性」 を持っている…


という意味において…











その点は ふき も納得です。


ウンウンと小さくうなずきながら、
話を聞いていたのですが…






ここで 忘れてはいけない事は、

「当たる可能性がある」 ということは、

『 ハズれる可能性もある 』 …


という点です。





という ミューラー の一言に、

その顔が ハッと青ざめました。










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