■ 「若さ」 は、宝くじ と同じ (2/2)





宝くじは、

「当たる可能性がある」 と同時に、

『 ハズれる可能性もある 』 …






ミューラー の一言に、

ふき は、自分が見逃していた点を
サクリ、と刺されたような
気持ちになりました。










ネックさん は、
そのあたりのことを見抜いて、

『若さ = 宝くじ』 と 表現された…

指摘をされたのでは
ないでしょうか?










ミューラー の話を
静かに聞いていた ネック は、

ここで 「うんうん」 と うなずき、


「理解した、坊や?」




とでも言わんばかりの表情で、
ふき を見あげました。







そういうことよ? ふき


あんたは さっき、
お年寄りたちをバカにしてたけど、


あの人たちにも 「若い頃」 があって、

その当時 やる事やって、

その結果、今、「お年寄り」 と呼ばれる
年齢になってるだけのこと
なのよね。






たしかに、お年寄りって、
若者に比べれば
残りの人生も長くないから、

「今後さらに」 成功したりとか、
実績 残したりするのとかは、
難しいかもしんないけど…



そもそも、あの人たちの大半は、

『 すでに 』 大なり小なり成功を…

「結果」 を出してんだかんね?



あんた、それ ちゃんと
分かってて言ってんの?







ふき は何も言い返しませんが、




その表情を見れば、

「分からずに言ってた」
のは明白でした。







「宝くじに たとえて、
一番安い 100円 や 200円 を
当てたような人生」 の人たちは、

たしかに 世の中 全体から見れば、
「ちっぽけな成功」
だし、

今の あんたは、そういう人たちを
笑うでしょうけど…



『あんたが将来、
それを超えられるって保証も
どこにも無い』
じゃんよ?








ふき の頭の中では、

先ほどの ミューラー の、

『宝くじは、ハズれる可能性もある』

という言葉が、

ゆわんゆわん と
リフレインし続けています。










そんな あんたが、

なんで お年寄りを
バカにできるわけ?


のぼせ上がんじゃないわよ。

まだ、今後いくらになるかも
分かったもんじゃない 宝くじ…


『 ただの紙切れ 』 の分際で!











「無限の可能性」 から、
「紙切れ」 に降格された ふき






なんとも前途多難な
すべり出しに なってしまいましたが、

彼はここから
盛り返せるのでしょうか?



はてさて…










ちなみに、

この討論の本題 (生きる意味) とは
直接は関係ないかもしれませんが、

ミューラー が こんな提案もしていました。





若者と お年寄りの実力を
そのまま比較するのは難しいですが…


たとえば、
「そのお年寄りの若かったころ」 と、
「今の 若い自分」 とを
同年齢で比べれば、


いくらかフェアな
比較になるかもしれませんね。


もちろん、時代背景なども異なるので、
厳密な比較は そもそも無理な話なのですが、

指標ぐらいには なるように思います。







若さは、あくまで「可能性」で、
「価値」じゃないんだからね。

だから必ずしも、
「若い=しあわせ」 とは
限らないんじゃないの?





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