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いきなりで アレなんだけどさ、ふき。 そもそも あんたの会社って、 本当に必要なの? |
ネック の この言葉に、 ふき は自分の魂が どこかにスポーンと 飛んで行ったかのような気がして、 30秒ほど 茫然と立ちつくしてしまいました。 ![]() | |
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だって ねぇ… |
ネック が そう言いながら、 ふき に差し出したのは、 ソーシャルゲームの情報誌 です。 | |
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こーんなに たくさんの ゲーム会社があるんだから、 別に あんたンところ含めて 10個 20個 会社が無くなったって、 ユーザーは困らない んじゃないの? まあ、そこで働いてる 「あんたたち」だけ は、 明日から生活できなくて 困るだろうけど… |
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そそそそそそそれは、あれですか! 『ゲーム業界そのもの』 への批判ですか!? ゲームみたいな 役に立たない くだらないものを 作ってる俺らなんか、 いなくなっても、 別に 世の中は困らん みたいな… |
昔から たびたび 社会の やり玉 に挙げられてきた ゲーム業界の姿を知っている ふき は、 ネック の暴言(?)を そう解釈したのです。 しかし、そこに すかさず 異を唱えてくれたのが、 理知派のトンビ紳士でした。 | |
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ゲームをはじめとする 遊び・娯楽 というものは、 人間さんたちのような 高度な生物にとって、 メンタルコントロールの選択肢… つまり、『ストレス解消』 において、 無くてはならないものです。 ゲームは決して 不要な存在ではないと、 私自身は考えます。 |
ミューラーは、ふき の家に来て (当然ですが) 初めて 「コンピュータゲーム」 というものにふれ、 特に 『テトリス』 の、 シンプルな中にも見事に完結している ゲームシステムについて、 深い感銘を受けているようで… 彼なりの ゲーム文化への 理解があるようです。 ふきは、うれしさに ちょっと涙ぐみました。 ![]() ところが、トンビ紳士は、 直後に こう続けたのです。 「…でも、ネックさんが言いたいのは、 そんな事ではないのでしょう?」 ![]() 「モチよ」 ![]() うなずく ネック を見て、 ようやく ふき も、 彼女は 別に 「ゲーム業界批判」 を していたわけではない、と 遅まきながら 気がついたのです。 | |
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たとえば あたし、 ふきんチに来てから、 新聞に入っているチラシ 読むようになったんだけどさ。 毎日 すごい数が入ってるよね? 今日は土曜日だから、 食べ物のチラシだけでも 10枚ぐらいあるじゃん。 でも、お店って 本当に こんなに必要なのかな? |
言われてみれば、 こんなにチラシが入っているのに、 自分は、いつも だいたい決まった店か、 チラシを見回して 特別に安売りをしている店に、 たまに足を運ぶ程度です。 それどころか最近は、 新しい店ができたとき、 「今度は どんな店が出来たんだろう!」 というワクワク感どころか、 「まーた 新たに調べなくちゃいけない店が 増えちゃったよ…」 といった、 自分の今までのペースをかき乱されたような、 ちょっとイヤな思いを 抱くことすらあったのです。 ![]() 選択肢は こんなにあるのに、 よく考えてみると、 そんなに選択していない… それどころか、 選択するのにウンザリしている 自分がいる… それは なぜだろう? それは… ![]() | |
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それは結局、お店が… お店を経営している人々の数自体が、 多すぎるからではないでしょうか? 『供給過多』 に なってしまっているのだと思います。 |
考え込んでいた ふき に、 ミューラー が放った その4文字が、 天啓のように降りそそぎました。 ![]() |