「仕事」 は、本当に社会貢献? (4/6)






『供給過多』!






気づいてみれば当たり前ですが、
たしかに その通りです。


ふき が、お店の選択を
メンドウだと感じていたのは、
選ぶべき お店が多すぎて…

つまり 『選択肢が多すぎて』 、
それを選んでいるだけで
グッタリと疲れてしまっていたのです。




ましてや最近の
食品・生活雑貨の販売店は、
なんらかの大手チェーンに属した
店舗であることが多く、

当然、それぞれの店の差は
ほぼ ありませんし…


昨今は、別チェーンであっても、
置いてある商品が似かよっていて、

ときどき、自分が今いるのが
どのチェーン店だったかを、
フッと ド忘れすることすらありました。





そして…

よくよく考えてみると、それは、
食品・生活雑貨関係のお店に
限ったことでは無い
のです。



今の世の中には、
本当に 恐ろしいほどの数の、
『似かよった選択肢』 …

似たような お店・企業・商品やサービス が
あふれている
ことに、

今さらながらに ふき は気づき、
愕然としたのでした。






そうか、ゲーム業界だけじゃないんだ。


今の世の中の
本当に いろいろなものが、

考えてみれば 『供給過多』
なんだ…






ふき の、そんな独り言のような結論を聞いて、

彼が何に気がついたかを察した ネック は、


「…そーゆーことよ、ふき



と、いつもの不敵な笑みを
見せました。





あんたの会社は、
最近はソーシャルゲームを作って
かなり儲けてるみたいだけど、

どのゲームも みーんな、
見た目が ちょっと
キレイでハデになっただけ…


ようは、他の会社のやつの類似品じゃん?





てことは、

そんな会社が無くなっても、
別に ユーザーは困らないわけ。


『似たような代わりのゲームは、
すでに いくらでもある』
んだもんね。





ネック の言葉に、
ミューラー も続きます。





私も不思議に思っていたのです。

ふきくん のパソコンやスマホに入っている、
他のいろんな会社さんのゲームって、

ゲームのルール…
つまりゲームシステムが、
どれも非常に似かよっている…



必要とされる思考に 大差が無く、
したがって複数のゲームを遊んでみても、
代わりばえがしなくて、

そこには 新鮮な驚きも
喜びもありません。





つまり、

『会社の数は 大量にあるのに、

個別の商品・サービスとしての
価値や選択肢が、

ほとんど存在しない』
のです。







「つまり」

「別に それらが無くっても、
みんな 大して困らないのですw」




ちょっとトンビ紳士の口調をまねて、
ネック が そんな口をはさみました。





もちろん 新商品…
新しいシステムのゲームを
産み出すのは、

制作スタッフにとっても
大変な苦労があるでしょうし、

会社としても 非常なリスクを
背負わなければらない…


だから、なるべく
「既存の 売れた商品」 に
似せたものを作って、

大ヒットは無くても、
大ハズレもしないラインに、
大半の会社の商品レベルが
集中してしまう
のでしょう。






でもそれは あくまで、
『作り手・売り手 の都合』 であって、

私たちユーザーにとっては、
言い方は冷たいかもしれませんが
「どうでも よいこと」 ですよね?



こんな、ユーザーにとって
どうでもいいゲームが、

「供給過多」 になるほど
発売・配信されている
のは…

なぜでしょう?






次に来る結論が
分かってしまった ふき は、


何か自分の体温が
2度ほど下がったような気持ちで、

ミューラー の口元を見つめました。









残念ながら、こう結論づけざるを得ません。


少なくとも現時点では、

ゲーム業界に限らず、
会社・お店 というもの自体が、

「社会貢献」 でも何でもなく、

そこに属する個人や集団が、
自分の生活を守るために
運営・協力されているだけに
過ぎないもの
なのです。





資本主義社会において、
会社や お店を 維持する以上、

社会にどういう影響を
与えるか? 与えてしまうか?
は 二の次
で…

どういう収益が得られるか? を
最優先事項とせざるを得ない

わけなのでしょうね…







『会社で働くことは、
社会貢献でもなんでもなく、

自分たちの生活費を
稼ぐための手段』…




ふき には、あまりにショックな結論でした。







が、否定しようにも、

自分の生活費のために、
ユーザーさんたちを小馬鹿にしながら、
イヤイヤ 「サポート業務」 をしていた
ふき に、
一体 何が言えるというのでしょう?


自らの今までの日々が、
なにより雄弁に、

ミューラーの結論を
実証してしまっている
のですから…








『仕事は、社会貢献でも何でもなく、
自分の生活の糧のためにやっている』



良いか悪いか ではなく、

「事実」 として、
まず その点を直視しましょう。






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