「仕事」 は、本当に社会貢献? (6/6)





そういえば、実は私、

もう1点 気になっていた
ことがあるのですが…




ミューラー
そんなことを言いながら、

何やら ふき のパソコンを
操作しはじめました。



羽根ではキーボードは打てないので、

器用にクチバシ
タイピングをしています。





『キ、キーボードが へこむ!』



ふき が心の中で絶叫し、
顔面を青くしました。






ふきくん が勤めておいでの
ゲーム会社は、

こちらで よろしいのですよね?




パソコンの画面には、
たしかに ふき の会社のサイトが
表示されております。



「そ、そうですよ?」





意味が分からないまま、
うなずく ふき





ふーむ…

これが 「会社概要」 で、
役員名一覧がこれで…

系列は…





ミューラー は しばらく、
ふき の会社のサイトの
あちこちを見たり、

ネット検索で
飛び回ったりしていましたが…



それらが終わると、

クルリと ふき のほうに
向き直りました。




ふきくん。

ふきくん の会社の役員である、
この 「○山 □男」さんですが…





うちの会社の役員に、
こういう人がいたのか…




ふき は、自分の会社の上層部など、
確認したこともありませんでした。





この人、以前 ふきくん が
「ヒドい政治家だ」 と言っていた、
「○山 □朗」さんの、

息子さん
のようなのですが…


ご存知でしたでしょうか?






…え??






ふき は あわてて、
自社のサイトを見直しました。


たしかに、この 「○山 □男」、

ふき が嫌っている△△党の
代表格の議員と苗字が同じですし、

検索してみると、
その息子の名前と同じです。





…で、でも、

世の中、同姓同名の人なんて
いくらでもいるし…




そんな反論をした
ふき でしたが、

ミューラー
さらにクチバシでキーを操作し、

ふき の会社のサイトの
「系列企業」 のページを開きました。





でも、ふきくん の勤めている会社って、
親会社 は、『☆☆カンパニー』 ですよね?


総合的に メディアやエンタテインメント業界に
サービスを展開している会社さんのようですが…

この 『☆☆カンパニー』 のサイトを
確認してみると、

「○山 □朗」議員 が主要株主の1人 として
名をつらねていますし…

他の役員さんを見てみても
「○山」 という苗字が やたらと多いです。





この 『☆☆カンパニー』、

「○山 □朗」議員の ご親戚による
同族経営の会社
なのではありませんか?






親会社の 株主 と 役員???


自分の会社の役員すら
知らなかった
ふき にとって、

今までの人生において
思考したことすら無かった
範疇(はんちゅう)の話でした…










なによ あんた。

自分の嫌いな奴のために、
必死こいて働いてたわけ?



すごい お人好しもあったものね。




ネックが、憐みをふくんだ
苦笑を浮かべています。





やはり そうでしたか…


以前 ふきくん が
テレビを見ながらお話ししていた、
「お嫌いな政治家さん」 の苗字が
ちょっと珍しいものだったのと、

先日 机の上に置いてあって目にした
ふきくん の会社の入社案内に、
まったく同じ苗字があって、
名前の1文字目も同じだったので、

「もしや…?」 とは
思っていたのですが…






こんな事が あるのでしょうか?



たしかに、ふき
今のゲーム会社に就職したのは、

自分が行きたいと
考えていた会社というより、

就職難の このご時世ですから、
『就職さえできれば どこでもいい!』
という気持ちで応募した、

ハッキリいってイイカゲンな選択の
結果であった
ことは確かなのですが…



そんな動機の就職活動ですから、
当然、事前に応募先企業のサイトに
ジックリ目を通すといったことも、
ほとんど していませんでした


(給料の額と、ボーナスのあるなしなどは、
シッカリ確認しましたが)




就職した後も、

『会社は、どこだってかまわない。
大切なのは、とにかくガムシャラに働くこと!

そうすれば、いつか必ず、
幸せな人生を掴むことができるのだ!』





という信念(?)のもと、

自分の夢と生活のために、
脇目もふらず


厳しい言い方をすれば、
『周りを よく確認せずに』
走ってきたような気がします。






『馬車馬(ばしゃうま)』

とか言うんでしょ?

そういうの。





本っ当に ムカつく言葉だけは
よく知っているな、この猫は…








でも たしかに、

ふき がガムシャラに働いて
生み出した会社の利益の一部は、

わずかずつ とはいえ 間違いなく
「○山 □朗」 の一族のフトコロに入って、

彼らの活動資金に
なっていたはず
です。




もちろん、生活できるだけの
ニンジン(給料)は
対価として もらっていましたが、

ふき たちが死にもの狂いで運んだ
荷物(仕事)による 儲け は、
大半が経営者のもとへ…

そして、株主のもとへ、流れていたはず…




日頃、「○山 □朗」 の政治活動を
『腹黒議員め!』 と罵っている一方で、

実は、その議員の一族会社のために、
セッセと汗水たらしていた ふき




こんなにコッケイな構図があるでしょうか?









社会とは、
「つながり」 のシステムですが…


「つながっている先」 を
把握しないでいると、

こんなことが起こる
場合もある
のですね…





人間の文化に深い興味を持つ
ミューラー ですが、

その 難しい側面 の1つを見せられて、
しみじみと考え込むのでした。





そして ふき自身も、

『仕事ができるだけで 幸福!』

みたいな 無思考な高揚感 とは、
今日かぎりオサラバだろうな…

という、たしかな予感を感じるのでした。









『自分の勤めている会社は、
どういう系列に属しているのか?』


『自分の勤めている会社の収益は、
どこへ流れて行くのか?』


といった点を、可能なかぎり
把握しておきたいものです。


そうしないと、

自分では、自分のしあわせのために
脇目もふらず努力しているつもりが、

実は 「がんばれば がんばるほど、
自分を不幸にする勢力に資金が流れ、
自分の望む しあわせな未来から
遠ざかってしまっている」…

「自分の しあわせを、
自ら 遠ざけてしまっている」
場合も、

あるかもしれないからです。





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