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第3章『しあわせ の「正体」』→ 見習い神さまは キツネ娘 |
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あの あのっ! おはようございますっ! ふ、ふきさん の お住まいは、 あの、こちらで… よ、よろしいでしょうか !? | |
土曜の 午前は、 今日も 上天気です。 あたたかい布団の中で、 ダラダラと寝起きの時間を つぶしていた ふき は、 玄関のドアの 向こうから響いた 愛らしく やわらかい 女の子の声 に、 キョトンと してしまいました。 ふき には 今、 付き合っている彼女 が いますが、 こんなに 優しい声 では ありませんし… そもそも 「顔見知り」の彼女が、 「ここは ふきさんの お住まいですか?」なんて 聞くはずがありません。 | |
まさか、 おかしな「勧誘」か 何かでは…?? | |
部屋の中を見渡せば、 白猫ネック は、朝の散歩 に… トンビ紳士の ミューラー も、 朝の運動 に 飛び立っていて、 マシンョンの自室で 久しぶりに1人きりに なっていた ふき は、 不安で顔を こわばらせました。 ただ、すぐに、 | |
…いやいや、 たとえば、 街中で オレを見かけて 一目ボレ しちゃった子が、 勇気をふるって 会いに来てくれた という可能性も 捨てきれないよな〜 | |
などと、 変なプラス思考 を はたらかせて、 勝手に ウキウキ状態 に なったりもしました。 でも、たしかに、 扉の向こうから 聞こえてくる声には、 ふき に そんな思いを 抱かせてしまうような、 不思議な「魅力」が あったのです。 | |
はい!はい! そうです! ここは ふき の家で 間違いありません! お待ちください! すぐに用意して 出ますんで! | |
ふきは、玄関に向けて 声を はり上げると、 大あわてで 洗面所に駆け込み、 顔を洗い、歯をみがいて、 タンスの中から、 できるだけシワクチャじゃない 外行きの服を選んで 着こみ… 玄関のドアの前に立つと、 興奮で ちょっと ふるえる手で、 そのノブを回したのでした。 |