■ 「若さ」 を無限化してみる





それでは、始めましょう。

ふきくん の感じていた
「しあわせ」 を、1つ1つ 順に

「無限化」 していこうと思います。




てか、ミューラー

『無限化』 って何なのか、

まず そこんとこ、
あたしたちに説明しなさいよ。




ネック の言葉に、

ふきかみね
「うんうん」 と
忙しく うなずきました。


  








「無限化」 とは、

『それが無限に手に入る状態』

を考える、

「思考実験」 のことです。





…て、

いや、すみません。

この名前は、私が勝手に
考えて付けたもの
なので、

皆さんが ご存知ないのも
無理ない お話ですよね。




ふきかみね は、

同時に ホッ と
安堵のためいきをつきました。


  



どうも この2人は、
知識や 受け取り方のレベルが
よく似ているようですね。






ふきくん が、
最初に主張されていた
「しあわせ」 は、

たしか、『若さ』
関してでしたね。



そ、そうです。



それでは 今から、

「若さ」 が無限に手に入る状態
を考えてみましょう。

それは どんな状態
だと思いますか?

ふきくん。




わ、『若さが無限な状態』 ですか…??


う〜〜ん…






当然ながら、今まで そんな事を
考えたことも無かった ふき は、

腕組みをして、
首をナナメに傾けたまま、
硬直してしまいました。



その横で かみね も、
前足を口元に持っていって
しきりに首をかしげています。




それを見た ネック は、

「ふふん」 と鼻で笑いました。





やっぱ ふき って、
こーゆー考え方が
苦手だよね〜


若さが無限に
手に入るってことは、

ずーっと 若いまま
って事でしょ?





だったら、アレじゃん。

『時間が止まっているのと同じ』

なんじゃないの?





ふきかみね が、
同時に 『あっ!』 と叫んで
顔を上げました。


  



ミューラー は、
ニッコリ笑って、

「うんうん」 と
うなずいています。





さすがは ネックさん ですね。

おっしゃられる通りです。


もちろん、

「若さだけが無限に保たれた
生き続けるうえに、
人間的成長までする」 としたら、

その人は、フィクションなどで語られる
『不老不死』 と呼ばれる存在に
なるのでしょうが…


それでは、思考実験とはいえ、
あまりにも非現実的すぎるので、
ここでは除外して考えましょう。





若さが無限に手に入る状態、

ずーっと、若いままで
自分が固定してしまう状態
を、
強いて表現するならば、

その人は いわば、
「時が止まったようなもの」 …

『永遠に変化も成長もしない状態』

に なるのではないでしょうか…?






そういえば、先日 ネック
言っておりました。

『若さは、宝くじのようなものだ』 と。



でも、時間が止まってしまえば、

それは、

「当選発表日が永遠に来ない宝くじ」
を 持ち続けるのも同じ
です。



仮に 「若さ」 が
無限に手に入ったとしても、

それだけでは、
「しあわせ」 には
なれないわけです。









この事から、

「若さ」 は あくまで、
「本当のしあわせ」 から生えている
枝葉の1つ であり、

『しあわせの本質ではない』

と、考えられるのではないでしょうか?





ミューラー は、
そのように結論づけました。



ただ、その後に、
このようにも補足しました。




もちろん、

『だから 若いことは
「しあわせ」 とは無関係だ』

というわけでは ありません。


「若さ」 という
活力あふれる時期に、

いかに将来に向けての
準備・下積みをするかによって、

『将来の 「しあわせ」 を得る可能性を、
自ら変動させられるもの』 …



「しあわせ」本体では
ありませんが、

それを得やすくするための
「状態の1つ」
だと、
私は思うのです。





ふき「若さ」 に対して
漠然と感じていた魅力
は、

きっと、そんな所にあったのでしょう。





『若さは、あくまで 「可能性」 で、

「価値」 じゃないんだからね』 …





あの日の、ネック
しめの言葉 が、

今度こそ シッカリと、

ふき の胸に 突き刺さりました。











『無限化』 って、

なかなか面白いじゃないのさ?

ミューラー




そんなふうに
ネック に褒められて、

トンビ紳士は
頭をかいて恐縮し、



さ、さぁ。

それでは 次に参りましょう!


と、ふき に先を
うながすのでした。







[章の 目次 に戻る]