■ 「学歴」 を無限化してみる






次は たしか…

『学歴』 だったと思うよ?




では今回は、

学歴の無限化 ですね?




でも、「学歴の無限化」
って言われても…


永久に学校に通い続ける とか、
そんなことですか?




絶対に御免こうむりたい
無限化だと、

ふき は思いました。





いえ、学歴は

「なんらかの学校を卒業した者」
に 与えられるものですから…

たとえば、

『この世に存在する全ての学校に
入学し、卒業した人間』
になったと
考えてみては いかがでしょう?




それ、すごいなぁ。

学歴重視の会社だったら、
どこでも ほとんど1発で
内定がもらえるんじゃないの?

…もちろん、「面接」 は
突破しなくちゃならないけど。


そんな人間になれたら、
人生のコース選び放題 で、
きっと しあわせ なんだろうなぁ…




ふき は目を閉じて
天井をあおぎ、

しみじみと考えこみました。





でもさ、

会社によっては
「入社試験」 ってやつが

あったりもするんじゃ
なかったっけ?



…あ!




その学校に行ってて、
なんとか卒業だけは した

ってんじゃ、ねぇ…


そこらへんは、
会社もバカじゃないから、

ハズレくじを
掴まされないよう、
ちゃーんと予防はしてるよね。




たしかに そうですね。

では、単なる 「学歴」 だけでなく、

その学校を首席で卒業するような、
高い学力・能力も兼ねそろえて
いたもの
として考えましょう。

つまり、筆記などの入社試験も、
簡単にパスできるような能力を
持っているものとします。




良かったですねぇ、

ふきさん。





むじゃきに ほほえむ
かみね に、

ふきは 苦笑いで
応えました。



現実なら たしかに
万々歳ですが、

しょせん これは、
「思考実験」 なのですから…







で、その すんばらしい
「学歴長者さま」 の ふき は、

どんな仕事をしたいのさ?




ネック に そう言われて、

ふき は ハタと
固まってしまいました。



僕の本当に やりたい仕事…?









若い頃に、

「あの大会社に
就職したかった」 とか、

そんな希望は
なかったのですか?

ふきくん。




「そもそも 働くのはイヤだ」 とか、

アホな結論
出すんじゃないよ?

ふき




ふきさん、

早く 教えて教えて!




3匹の視線の真ん中で、

うつむいて考え込んでいた
ふき でしたが…



意を決したように
静かに顔を上げると、

ちょっと はにかみながら、
こんな結論を述べたのでした。




いや…

それでも僕は やっぱり、

ゲームを作る仕事
就きたいような気がするなぁ…





ふきの言葉に、

3匹は、ちょっと
拍子抜けしたような顔で、

お互いを見回して
おりましたが…


  






やがて ミューラー が、

「うんうん」 と うなずいて、
こう言いました。




ふきくん のような
考え方をされる人にとっては、

『無限の学歴』 も、
あまり意味が無い
ということですね?


学歴のおかげで
「就職の選択肢」 が増えても、

増えた選択肢の中に、
『自分のやりたい仕事』
が無ければ、

意味がないし、
「しあわせ」 でもない…



やはり 学歴も、

「しあわせの本体」 ではなかった、
という事なのでしょう。





ふきは、恥ずかしそうに
頭をかきながら、

何度も うなずきます。



「学歴=しあわせ」 という
ふき の主張を、

ふき自身が退けた
かたちになりますが、

ミューラー の その顔は、
なにか とても穏やかでした。






でも、ふきさん、

そういうの なにか、
カッコいいと思います。


そ そ そう?





かみね に褒められて、

ドギマギしている ふき を…


ネック は、

「とても懐かしいもの」 を
見るような目で、
見つめるのでした。










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