■ 「恋」 を無限化してみる






今日の、無限化は…

『恋』 についてかぁ…




どうかされましたか、
ふきくん?

お元気が無いようですが…




彼女から 最近、

連絡が無いんだよ…




ふーん、そりゃ きっと、

先日の
覗き
バレたんだねぇ。


かみね も、
罪なこと したもんだ。




そばで聞いていた かみね が、
ビクッ と体を震わせ、

真っ青になって
硬直してしまいました。









んなわけないだろ!

僕の彼女は
普通ーの人間なんだから、

神通力で覗かれてた
ことなんか 知らないよ!


僕だって全然
知らなかったんだし…




しかし、それでは なぜ、

連絡をしてくれない
のでしょう…?




あれじゃない?

『君の誕生日に いっしょに旅行を…』
とか ふき が言い出したから、

彼女 ヒイちゃったんでしょ?





そばで聞いていた ふき が、
ビクッ と体を震わせ、

真っ青になって
硬直してしまいました。







でも、時期的に考えると、

たしかに あの一言が
引き金になっているように、
ふき にも思えるのです。



かみね が読み取っていた、
ふき の彼女の心は、

デート中も うわの空
だったそうですし…



寂しいけれど、
ふき が一方的に彼女に
舞い上がっていただけで、

彼女にとっての ふき は、
「本命が現れるまでの つなぎ」
ぐらいの存在だったのでしょう…





くじけないで、ふきくん。

ふきくん にも必ず、
わたしにとっての妻のような、

『一生を共にする価値のある女性』
現れる日が、きっと訪れますよ。




うん… そうだね…


じゃあ、とりあえず、

『恋』 の無限化
やっちゃおうか…



と、ふき が答えたところ、

ミューラー
キョトンとして、
こう言ったのです。




え?

もう、無限化の結論
出ていますよ? ふきくん。

先ほどの 私の言葉の中に…




は ??



今度は、ふき のほうが
キョトンとする番でした。





無限に恋をする…

それは いわば、
異性に対して、
一生涯 恋い焦がれること
です…


でも、わたしたちを含め、
人間さんたちの ほとんどは、
「一夫一妻」 ですよね?

という事は…?





『 1人の異性を、

一生涯 愛し続ける 』 …


ということですか。





かみね の回答に、

ミューラー
ニッコリと うなずきました。





もちろん、これは
あくまで 「思考実験」 であり、

現実には、相手にも
一長一短があるわけですから…


一生、相手の全てにおいて
尊敬し 愛し続ける…

なんてことは、
現実には 起こりえません。





でも、相手とともに自分も、
お互い人間的に成長しながら、

常に お互いに尊敬の念をもって
(愛し合って)
生きていけるとしたら…


その人の一生は、
どれほどに 「しあわせ」 に
満ちたものになるか、

ちょっと はかりしれません
よね。






『恋』 それ自体は
「しあわせの本体」 ではないけれど、

そうした恋心を持ち続けられるような
価値のある異性と出会い、

結婚をして 共に暮らす中で、

相手とともに成長し続ける
ことができたなら、

その人生は、

とても深い 「しあわせ」 に
満ちたものになる





それは、

『恋人がいないなんてカッコ悪い』
といった、世間体ばかりを
気にしていた

先日までの ふき や、
ふき の彼女だった女性には、

決して辿りつけない
『恋の真理』

言えるかもしれません。









今 思い返してみると、

ふき と 彼女の付き合いは、
いつも 「目先」 ばかりでした。


具体的な2人の 「将来」 について
話し合ったことなど、
ただの一度も無かったのです。




相手を、心のどこかで
「自分の満たされない心を埋める
アクセサリー」
程度にしか
思っていなかった2人にとって、

今の別れた状態こそが、唯一、

遅かれ早かれ確実に
訪れることが確定していた
「将来」 だった
ように、

今の ふき には、思えるのでした。









ドンマイだよ? ふき




ネック が めずらしく
そんな なぐさめを言って、

前足で、ふき の横腹あたりを
グーパンチしました。



でも 今の ふき には、
寂しさというよりも、

不思議と 胸の中が
スッキリしたような感覚

があるのです。




それは、

「自分は恋をしている!」
と思い込んでいた
勘違いの停滞
から、

結果的に 1歩を
踏み出せたことへの、

「小さな誇り」 による さわやかさ
かもしれません。










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