■ 「夢」 を無限化してみる






次の、ふき ご自慢の
「しあわせ」 は、

『夢』 について だったよね?


たしか、

「プランターに なりたい」
とか言ってたじゃんね?





「プランター」 じゃなくて
『プランナー』 ですよ、
ネックさん…






といった指摘は、

自分の身に
危険がふりそそぐので、
やめておいた ふき でした。



どんなに賢そうに
振るまっても、

こんなとこは
所詮 「猫」 だよなぁ。





という優越感も ありましたし…






「ぷらんたあ」って

何ですか?


英語で 「植木鉢」 のことだよ?





知っとったんかい!?






かみね の質問に
事もなげに答える
ネック を見て、

ふき の今までの優越感は
一瞬で崩壊しました。



どこまで 人をからかう事に
長(た)けているんだか、

この白猫は…






さて、それでは今回は

『夢』 を無限化
するわけですが…


それは、どんな状態だと
皆さんは思われますか?





ミューラー の質問に、

ちょっと考えた ふき は、
こんなふうに答えてみました。




『 いつでも夢に あふれている人 』 …

かなぁ?


なんだか 素敵ですね。


そお?

夢だけ抱えて満足して、
ろくに努力もせずに
ニヤニヤ笑って
生きてるだけの奴
なんて、

キモすぎだと
思うんですけど?





ネック の視線が
まっすぐ自分に向けられていて、

ふきは つらくなって
しまいました。









夢には、大ざっぱに
2種類あると思うのです。


「こうなればイイなぁ」 ぐらいの、
「漠然とした希望」
すぎないケースと、

『具体的な目標』
であるケースの、

2つです。




前者は、単なる
「フワフワした希望」 ですから、

たくさんあれば あるほど、
なんとなく自分の人生が
輝いているような気持ちになれて、

楽しくて仕方なくなる
ことでしょう。


ただ、そんな代物が
どんなに増えたところで、

いつか 「具体的な現実」 を
直視しなければならない瞬間が訪れ、

そのリバウンドで、
かえって大きな 『不幸』 を
しょいこむ
結果に
なりそうな気がしますね…





ネック の視線が
まっすぐ自分に向けられていて、

ふきは なんか
泣けてきました。









一方 後者は、

「自身の努力」 無しには
獲得できない
明確で具体的な 『目標』 ですから、

無限に持っていたとしても、
必ずしも 「しあわせ」 では
ないように思います。


明確で具体的である分、

夢をかなえられなかった場合、
それをハッキリと
自覚できてしまうからです…





夢を持っていることが、
かえって不幸につながる…


という事ですか?




かみね
悲しそうな顔をすると、

ミューラーは、
「いいえ」 と 首を振りました。




たしかに、
「しあわせ」 には なれない
かもしれません…


しかし、

必ずしも、『不幸』 という
わけではない
のです。





かみね と、
そして ふき は、

意味が分からず、
キョトン顔になりました。


  






なぜなら、

本気で、具体的な目標としての
「夢」 を持って進んでいた人
は、

たとえ、その夢の実現に
失敗したとしても、

それまでに積み上げた
努力や学びを元に、

また 『別の 新たな夢の実現のために
歩き出せる可能性が高い』
からです。


単なる夢想に溺れていただけの人 とは、
根本的に異なるんですよね。





もっとも、人間さんたちは、
いずれのケースも
「夢」 と称している
ので、

両者が混同されやすい ですが…



かくいう私も、
当初は それに気づけず、
混乱してしまったものです。





そういえば このトンビ紳士、

先日、そんなことを
語っておりました。





…てことは、

まとめると どうなんのよ?
ミューラー




『夢』自体は、
「しあわせの本体」
じゃないけれど、

フワフワした 「希望」 じゃなくて、
具体的な 「目標」 であれば、

自分が しあわせ になるための
『足がかり』 として機能する
可能性が あるもの…



てとこですか? ミューラーさん。






ふき の言葉に、

ミューラーは しばし
キョトン顔になっておりましたが…







やがて、うれしそうに

何度も首をタテに
振りはじめました。




そうです。 その通りです!


いやはや… 私、ふきくんに
お株を取られてしまいましたね…





ミューラー は もちろん、

かみね も 満面の笑みで
ふき を見つめています。



ネック も、ちょっと意外そうな、

でも、まんざらでもない目を、
ふき に向けていました。


    








ちなみに ふきは、
先日 ネックたちに指摘されてから、

本当に少しずつではありますが、

自分のゲームアイディアのメモの束を、
パソコンの表計算ソフトを使って
リスト化する作業
を始めていました。



そうすることで、

今までバラバラだった
自分のアイディアが、
頭の中で整頓され、

何本かのゲーム企画としての
まとまりが見えてきたのです。




ふき の夢の実現は、
まだまだ先のようですが、

彼なりに 「自分の しあわせ」 のための
小さな1歩を踏み出しつつある事に、

なにか、手応え のようなものを
感じつつあるのでした…







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