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第3章『しあわせ の「正体」』→ もし『健康』が 無限に手に入ったら? |
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えーと… 実は、私たち自身も、 「自分たちのこと」が よく分かっていない んです。 | |
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え! そうなの?? | |
驚く ふき に、 かみね が うなずきました。 | |
『神さま』という名称も、 「自分たちで付けた」のか、 「人間さんの誰かが そう 呼びはじめたものなのか」 も、分かっていません… | |
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200年や 300年は 普通に生きられる ので、 世の中の 生物さんたちよりは はるかに「長生き」ですが… 皆さんのように 「結婚」したり 「子供」を残したりは しない んです。 | |
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私たちは なにか、 『生き物の皆さんの 思い』 みたいなものに 反応するらしく、 社(やしろ)のような 神聖なところに いつのまにか生まれて、 自由に移動したりも できて… | |
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ものすごく ゆっくりと 歳をとりながら、 気がつくと 「無くなって」いたりする みたいですね… | |
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「病気」になったりとかは、 ないの? | |
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ありません。 ただ、自分が生まれた辺りが 廃(すた)れたり、 社(やしろ)が 無くなってしまう と… | |
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「生物の皆さんの思い」が 消えていってしまうのか、 そこで生まれた「神さま」も、 いっしょに 消えてしまったり するようです。 | |
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生物の皆さんからは、 普通は見えない わたしたち「神さま」ですが、 『生物の皆さん無しには 存在できない』、 そんな 命なのかも しれません ね… | |
民話か なにかで、 似たような話を 聞いたことがあるように、 ふき は 思いました。 | |
あと、そうやって 長く生きていると、 『神通力』と言いますか、 不思議な力 が 使えるように なったりもします。 | |
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こちらの ネックさんも、 あの公園に住むようになった頃、 たまたま 公園のそばにあった 「うちの師匠の 住まわれる社」 の 敷地に入られて… | |
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偶然にも、 『社をおとずれた 800万匹目の 動物』 になり、 記念に、神通力で、 『3つの お願い』を 叶えてもらえる ように なったそうです! | |
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それで ネックさん、 その お願いの1つで、 「人間さん並の 知能」 をもらって… 公園で何年か 暮らしているうちに… | |
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今のような、 『さまざまな 深い思考』が、 できるように なったのだとか… | |
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かみねちゃんたちって、 そんな事まで できちゃうの!? すごいなぁ… 万能 じゃん?? | |
ふきは、 この、ちょっと頼りない、 あどけない キツネ娘 が、 ものすごく荘厳 に 見えてきました。 |
ふき から 尊敬の まなざし が 向けられていることに 気づいた かみね は、 あわてて、 こんな 訂正 を加えるのでした。 | |
あ、でも 実のところ、 そんなに大したことは 出来ないんです。 なんというか、 『世の中に直接 影響を与える ようなことは無理』 みたいな… | |
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だから あたしも、 キツネの じいさんに かなえてもらう 『願い』を 選ぶときに 苦労させられた わよ… | |
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「あれはできない」 「これはダメ」て、 『 このジジィ、実は 口ばっかの エセ神さま なんじゃね? 』 て 思ったもんね。 | |
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し、師匠の悪口 言わないでくださいっ! | |
かみね が 半泣きになって ネック に つかみかかりますが、 ネックは スルリと それをよけて、 離れた場所から 鼻で笑うのでした。 | |
でも、 『スマホ』も 持ってるし、 結構「文化的」 なんじゃないの? 神さまたちも? | |
ふき の質問に ハッとした かみね は、 袖の中から スマホ を 取り出して、言いました。 | |
これ、 人間さんたちが 楽しそうにスマホを 使っているのが うらやましくて、 私が 個人的に「まねて」 作ってみたものなんです… | |
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だから、 見た目はスマホみたいだけど、 『スマホじゃない』んですよね… 「神通力」で 空気中の電波を拾って データを読む ぐらいは できますが、 こちらから書き込んだり とかは できない んです… | |
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「ダウンロード」は できても、 『アップロード』は できない… という感じですか。 | |
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だから、 ふきさん にも、 SNS で「ともだち申請」 できない んです… | |
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そ、それは まあ、 別に いいんだけどね… | |
と、ここまで話した かみね は、 何か とても しみじみとした感じ で、 こう 結んだのでした。 | |
なにか、 わたしたち 「神さま」という 存在自体が、 そもそも そういうもの の ようですね… | |
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「長く生きること」は できるけれど、 『世の中に 直接は かかわれない』… みたいな… | |
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