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第3章『しあわせ の「正体」』→ マズローの 欲求5段階説 |
ひととおり、 「幸せ」についての『無限化』 が 終わり、 ふき は「ふぅ」と 一息をつきました。 自分が追い求め、 自慢の1つでもあった 「幸せ」なのに、 それが いくらでも 手に入る ようになると、 「見え方」や「感じ方」が 変化して… ときには 『もう勘弁してほしい』 と 嫌気までさす ことが、 実に 不思議で 新鮮な体験でした。 そんな『無限化』を 提案したトンビに、 | |
ミューラーさんって、 すごいよね… | |
と、しみじみとした賛辞が ふき の 口から 自然に もれると、 当の ミューラー は 大いに照れながら、 こんな事を言ったのでした。 | |
いえいえ。 私も『無限化』を 思いついたときは 自分事ながら 「これは面白いのでは!」と 興奮したものですが… | |
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後になって 自分の こうした思考実験は、 『マズローの 自己実現理論』 の 変形だったのかも? と 知って… | |
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人間さんたちの 「先見性」と「知識の深さ」に 感嘆した次第です。 | |
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ま、まずろお…? 「人の名前」ですか? | |
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だとしたら、 日本人ぽい よね。 | |
首をかしげる ふきたちに、 ミューラーが あわてて 捕捉をはじめました。 | |
あ、いえ、ネックさん。 「まず郎」ではありません。 「マズロー」です。 | |
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『アブラハム・マズロー』さん (Abraham Harold Maslow) は、20世紀の心理学者で、 私たち生物の欲求を 「5段階」で 説明された方 です。 | |
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現代では この考えには 「批判」もありますが、 私自身は、 動物や人間さんの行動を とても的確にとらえている この考え方 を 知り、 大変 深く感動しました。 | |
ミューラー は、 いつもながらの 何やら難しい言葉を並べた後、 ふきの パソコンで ネットの画像検索をはじめ… ( くちばしでキーボードを打つ ミューラーに、 ふきは 画面蒼白になりましたが ) 『5色に彩られた ピラミッド型の図』を 画面に表示させました。 |
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これです。 この「ピラミッド構造」が、 『マズローの 欲求5段階説』… | |
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別名『自己実現理論』を 分かりやすく説明したもの になります。 | |
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そもそも 『自己実現』とは、 「自分の 心から望むことを、 実現して生きていく」 状態の事です。 | |
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たとえば ふきくんなら、 『自分が心から夢見るゲームを 制作していくこと』が、 それにあたるのでは ないでしょうか? | |
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あたしなら、 お腹いっぱい ご飯が食べれて、 ゆっくり昼寝したり、 好きなときに散歩できたら 満足だけどねー | |
そんなふうに語る ネック に ほほえみながら、 ミューラーは 続けます。 | |
『欲求5段階説』は 簡単に言えば、 「生物の欲求は、 段階をへて変化していく」 という考え方です。 | |
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たとえば ピラミッドの 一番下 を 見ると、 『生理的 欲求』と 書かれていますよね。 | |
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これは 「食べる」「寝る」 「排泄する」といった、 生物として 誰もが 当たり前に持っている、 最も原始的な、 生きていく上での 必要最低限な欲求 のことです。 | |
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食べなくちゃ 飢えて死んじゃうし、 トイレを 不必要にガマンしても 何のメリットも無いもんね。 | |
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「寝ちゃダメ」とか 言われたら、 地獄 なんですけど。 | |
みんなの話を聞いていた 神さまの かみね は、 納得したように 言いました。 | |
生物の皆さんにとって、 「ただ生きているだけで 自然に発生」する、 自分を最低限 生かすための欲求 … | |
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それが 『生理的 欲求』 なのですね? | |
ミューラー が ニッコリと うなずきました。 |