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第4章『「DNAの生存本能」で「しあわせ」を考える』→ DNA の 生存本能で、『品物』を考える |
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次は 『品物』に ついてですね。 「品物」と言いましても 色々ありますが… | |
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その根底には『道具』… 『生活の 利便性を高める』 という目的が こめられています。 | |
かみね も、 リビングの天井を 見渡すようにしながら 言いました。 | |
人間さんたちが 住んでらっしゃる こうした『お家』も、 ミューラーさん たちが使う 「巣」を 発展させて、 より使いやすくした 「品物」の 1つですものね。 当然、「巣」よりも 生存確率は 高く なってますし… | |
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その通りです。 また、人間さんたちには、 われわれのような 「豊富な体毛」は ありませんが、 その代わりとして、 『衣服』を 発明し、 その量を調節することで、 短時間で 好みの保温状態を 作り出す ことができます。 | |
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ノラの あたしからすれば、 うらやましい話だよね。 毛皮って 結構、 大変なんだよ? ふき。 夏は 暑いしねぇ… | |
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しかも、生え代わりに 時間がかかっちゃうから、 春になって 毛が抜けたあとに、 急に気候が変わって 寒くなったり すると、 もぉ どうしようなくて、 丸まって震えてるしか なくなる から、 泣けてくるのよ… | |
公園に居たころを 思い返しながら、 ネック が 苦笑しています。 | |
人間さんたちの生み出す 『品物』の すばらしさ は、 まだまだ あります。 | |
ミューラー の 言葉に、 熱が こもりはじめました。 | |
さまざまな 『家電』の おかげで、 家事労働の負担は減り 、 自動車などの 『乗り物』によって、 移動にかかる時間を短縮化 、 『コンピュータ』の 発達・一般化で、 頭脳労働も 日に日に 効率化されています … | |
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「品物・道具」が、 生活の中で発生する 疲労を軽減 し、 仕事にかかる時間も 短縮 してくれているおかげで、 人間さんたちには 『 時間的・精神的余裕 』 が うまれ、 その文明は、 さらにスピーディに 発展していく… | |
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『品物』の… 『道具』の 存在が、 『人間さんたち全体の 生存確率』を 底上げ しているのです。 | |
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これが、DNA にとって 『しあわせ』でなくて、 何なのでしょう! | |
ミューラー は、 羽根で握りこぶしを作り、 我がことのように 興奮しながら、 人間の英知を 絶賛 するのでした。 |
言われて ふき は、 自分の家の中にある 『品物』たち を、 あらためて グルリと 見まわしてみました。 当たり前のように 自分の生活の中に あったものなので、 今まで 深く考えたことは 無かった のですが… こうして 1つ1つの 品物や道具を、 あらためて ジックリと 観察してみる と、 そこに、 『人類の 工夫と努力』が 深々と しみこんでいる ことに 今さらながら 気づいて、 なんともいえない感動を おぼえるのでした。 | |
まるで… 『DNA』みたい だなぁ… | |
ふきが ポツリと つぶやきました。 DNA の 中には、 「生存のための さまざまな知識」 が こめられていますが、 世の中に 数多(あまた)存在する 『品物・道具』もまた、 「生存のための知識」 の 結晶たちです。 目にも見えない微細な分子の 集合体である DNA によって 生み出された「人間」が、 『品物・道具』という、 アイディアを 目に見える形にした物を 次々と生み出していく ことで、 『複雑で 巨大で 新たな DNA』 (社会)を、 協力して組み上げつつある… そう 考えると ふき の 中に、 身の引きしまるような思いが 湧いてくるのでした。 今回の検証については、 ふき は まったく疑問も無く、 スンナリと納得することが できました。 それは、 「ゲーム」という無形物とはいえ、 物づくり に 関わる日々を 送っている ふき にとって、 『 物の生み出す 価値 』 という視点に、 元々、深い なじみ が あったからかもしれません。 |