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第4章『「DNAの生存本能」で「しあわせ」を考える』→
DNA の 生存本能で、『恋』を考える


■ DNA の 生存本能で、
『恋』を 考える


『生物が「恋」をするのは、
自分が必ず 死んでしまうから』


執筆日 2018年 03月頃   最終更新日 2021年 04月28日





今日は、
『恋』に ついてですね。





「恋」は、

これ抜きに
『 DNA の 生存本能 』を
語ることは 不可能

と 言っていいほど、

重要な要素 になります。





そ、そうなのですか?

私たち「神さま」には
『恋』というものが無いので、
よく分からないのですが…





それで かみね は、
ふき の デートを
覗いた
んだもんね。

ほんと、
「探求心の旺盛」な
キツネさんだこと…





…あ、ちなみに あたしも、
生まれて結構すぐに
「避妊手術」されたから、

「恋」って言われても
よく分からないなぁ。





ネック は、
前半のセリフを
言った直後に、

半泣きで追いかけてきた
かみね をかわし、

部屋の中を逃げ回りながら
後半のセリフを言いました。

  




10分ほどのドタバタの末に、
ようやく場が静まり…

ミューラー が
話を再開します。





それでは、
ご説明いたしましょう。


「恋」が、なぜ
『DNA』『生存本能』
を 語るうえで、
それほどに重要か

と 言いますと…





言いますと…?





『私たち 生物が
必ず死ぬから』


…です。






しばらく ミューラー の顔を
見つめていた ふき が、

怪訝(けげん)な顔つきに
なりました。





…あの。

それって
どういう事ですか、
ミューラーさん?


「恋」と「死ぬ」ことと、
どういう関係が…??





ミューラー は ほほえむと、
ふき の質問には答えず、

急に、ふき の パソコン
のほうに顔を向けて、

逆に、
こんな不思議な質問を
したのでした。






ふきくん の
あのパソコンの中には、

いろいろと
「重要なデータ」が
入っているのでしょうね?





え…?

えぇ、まぁ…



ふき は、突然の質問に
首をひねりながらも、

そんなふうに答えました。



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『子孫は、自分のバックアップ』





その「データ」
なのですが…


もし あのパソコンが
壊れてしまったら、


もう二度と使えない
ものなのでしょうか?





え…? い、いえ、

そんな事は ない ですよ?





僕も、万が一「故障」した
ときのことを考えて、

定期的に、外付けの
ハードディスクに
データをまるまるコピー

するとかして、

『バックアップ』を
取っていますから…





最悪、今のパソコンが
突然 壊れた としても、

バックアップしておいた
データ
を 元に、

以前の パソコン環境を、
ある程度
『復旧』させる
ことができるんです。





長年 使ってきた
大事なデータが
「まるまる全部 消失」

なんてことになったら、

取り返しのつかない
大参事 ですからね…






それを聞いた
ミューラー は、
先ほど以上に ニッコリとし、

ふきに、
こう 確認したのでした。





なるほど。

つまり、
仮に、『今のパソコンが
死んでしまって』
も…





「ふきくん が 長年
積み上げてきた データ」
は、

新しいパソコンの中で
生き続けることができる…


と 言うことなのですね。





そ、そうで…






「そうです」と
言いかけた ふき の目が、

みるみる
見開かれていきました。




かみね も、
『ミューラー の
言わんとしていること』
に
気づいたようで、

両方の前足を
口の前に持ってきて、
息をのみました。

  






大切なファイルを
『コピー』する
ことで、

「入れ物」であるパソコンが
代わってしまっても、

過去から
積み上げられてきた
『大切な データ』は、


未来に
引き継がれていく…





それは まるで、
われわれ「生物」が、

『恋』をし、
結婚する
ことで、

生まれてくる
子供の中に、
自らの DNA を
『コピー』して…





たとえ 自分が
亡くなる日が来ても、


はるか昔から
積み上げられてきた
『生存のための知識』
は、

親から子へ、
子から孫へ… と、

未来に 引き継がれていく
ようなものでは
ないでしょうか?



  



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『「恋」の 正体は、
DNA の 自己保存テクニック』





ふき も かみね も、

しばらく 発すべき言葉が
見つかりませんでした。


  




DNA の 超性能 には、
驚愕するほか ありません。



本来なら、

その生物が
死んでしまった時点で
失われる

「自分自身を形作る
さまざまな情報」
を、


『自分のコピー(子孫)』
を 作ることで、


完全消滅から まぬがれる
とは…




DNA の、
恐ろしいまでの

『 生存への 執念 』…


ふきは そこに、
畏敬(いけい)すら
感じるのでした。







思えば、
自分の この体の中
には、

はるか はるか はるか 昔の、

顔も知らない ご先祖様たち が
積み上げてきてくれた

『生存のための知識』が
込められている
のです。




そして自分も いつか、
異性への『恋』を 発端に、

はるか はるか はるか 未来の、

顔も知らない 子孫たち に、

その『生存のための知識』を
受け渡していく
のでしょう…






しかも、
聞いた話によると、


DNA は
「そのまま 単体でコピー」
したものよりも、

異性と「結婚」して
2つの DNA を 混ぜた

もののほうが、

「多様性」が出て、
生存確率が
高まりやすくなる

のだとか…







なるほど、

ミューラーの 言う通りです。



ある意味、
『恋』こそが、

DNA が 見出した、
最高の
『自己保存』テクニック
…




DNA の 最も恐れる
「自己の消滅」
を
可能なかぎり
回避するための、

唯一無二の『大発明』
と 言えるかもしれません…


  



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