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第4章『「DNAの生存本能」で「しあわせ」を考える』→ DNA の 生存本能で、『恋』を考える |
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今日は、 『恋』に ついてですね。 | |
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「恋」は、 これ抜きに 『 DNA の 生存本能 』を 語ることは 不可能 と 言っていいほど、 重要な要素 になります。 | |
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そ、そうなのですか? 私たち「神さま」には 『恋』というものが無いので、 よく分からないのですが… | |
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それで かみね は、 ふき の デートを 覗いた んだもんね。 ほんと、 「探求心の旺盛」な キツネさんだこと… | |
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…あ、ちなみに あたしも、 生まれて結構すぐに 「避妊手術」されたから、 「恋」って言われても よく分からないなぁ。 | |
ネック は、 前半のセリフを 言った直後に、 半泣きで追いかけてきた かみね をかわし、 部屋の中を逃げ回りながら 後半のセリフを言いました。 10分ほどのドタバタの末に、 ようやく場が静まり… ミューラー が 話を再開します。 | |
それでは、 ご説明いたしましょう。 「恋」が、なぜ 『DNA』『生存本能』 を 語るうえで、 それほどに重要か と 言いますと… | |
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言いますと…? | |
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『私たち 生物が 必ず死ぬから』 …です。 | |
しばらく ミューラー の顔を 見つめていた ふき が、 怪訝(けげん)な顔つきに なりました。 | |
…あの。 それって どういう事ですか、 ミューラーさん? 「恋」と「死ぬ」ことと、 どういう関係が…?? | |
ミューラー は ほほえむと、 ふき の質問には答えず、 急に、ふき の パソコン のほうに顔を向けて、 逆に、 こんな不思議な質問を したのでした。 | |
ふきくん の あのパソコンの中には、 いろいろと 「重要なデータ」が 入っているのでしょうね? | |
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え…? えぇ、まぁ… | |
ふき は、突然の質問に 首をひねりながらも、 そんなふうに答えました。 |
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その「データ」 なのですが… もし あのパソコンが 壊れてしまったら、 もう二度と使えない ものなのでしょうか? | |
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え…? い、いえ、 そんな事は ない ですよ? | |
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僕も、万が一「故障」した ときのことを考えて、 定期的に、外付けの ハードディスクに データをまるまるコピー するとかして、 『バックアップ』を 取っていますから… | |
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最悪、今のパソコンが 突然 壊れた としても、 バックアップしておいた データ を 元に、 以前の パソコン環境を、 ある程度『復旧』させる ことができるんです。 | |
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長年 使ってきた 大事なデータが 「まるまる全部 消失」 なんてことになったら、 取り返しのつかない 大参事 ですからね… | |
それを聞いた ミューラー は、 先ほど以上に ニッコリとし、 ふきに、 こう 確認したのでした。 | |
なるほど。 つまり、 仮に、『今のパソコンが 死んでしまって』も… | |
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「ふきくん が 長年 積み上げてきた データ」は、 新しいパソコンの中で 生き続けることができる… と 言うことなのですね。 | |
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そ、そうで… | |
「そうです」と 言いかけた ふき の目が、 みるみる 見開かれていきました。 かみね も、 『ミューラー の 言わんとしていること』に 気づいたようで、 両方の前足を 口の前に持ってきて、 息をのみました。 | |
大切なファイルを 『コピー』する ことで、 「入れ物」であるパソコンが 代わってしまっても、 過去から 積み上げられてきた 『大切な データ』は、 未来に 引き継がれていく… | |
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それは まるで、 われわれ「生物」が、 『恋』をし、 結婚する ことで、 生まれてくる 子供の中に、 自らの DNA を 『コピー』して… | |
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たとえ 自分が 亡くなる日が来ても、 はるか昔から 積み上げられてきた 『生存のための知識』は、 親から子へ、 子から孫へ… と、 未来に 引き継がれていく ようなものでは ないでしょうか? | |
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ふき も かみね も、 しばらく 発すべき言葉が 見つかりませんでした。 DNA の 超性能 には、 驚愕するほか ありません。 本来なら、 その生物が 死んでしまった時点で 失われる 「自分自身を形作る さまざまな情報」を、 『自分のコピー(子孫)』 を 作ることで、 完全消滅から まぬがれる とは… DNA の、 恐ろしいまでの 『 生存への 執念 』… ふきは そこに、 畏敬(いけい)すら 感じるのでした。 思えば、 自分の この体の中 には、 はるか はるか はるか 昔の、 顔も知らない ご先祖様たち が 積み上げてきてくれた 『生存のための知識』が 込められている のです。 そして自分も いつか、 異性への『恋』を 発端に、 はるか はるか はるか 未来の、 顔も知らない 子孫たち に、 その『生存のための知識』を 受け渡していく のでしょう… しかも、 聞いた話によると、 DNA は 「そのまま 単体でコピー」 したものよりも、 異性と「結婚」して 2つの DNA を 混ぜた もののほうが、 「多様性」が出て、 生存確率が 高まりやすくなる のだとか… なるほど、 ミューラーの 言う通りです。 ある意味、 『恋』こそが、 DNA が 見出した、 最高の 『自己保存』テクニック … DNA の 最も恐れる 「自己の消滅」を 可能なかぎり 回避するための、 唯一無二の『大発明』 と 言えるかもしれません… |