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第5章『「DNAの生存本能」で「世の中」を考える』→ DNA の 生存本能で、『損得』を 考える |
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じゃあ、まずは、 『 得 と 損 』について 考えてみようか? ふき、あんただったら、 「得と損」って言われたら、 何が思い浮かぶ? | |
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うーん… やっぱり 『買い物』かなぁ。 良いものを 安く買えると、 『得した!』って うれしくなる し… | |
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高い お金出して 買ったものが ヘボかったりすると、 『損した…』って、 ショックを受ける よ… | |
そんな ふき の 話に、 ミューラー が 納得するように うなずきました。 | |
ふきくん が そのように お感じになるのは、 買い物において、 『ご自分の お金』を 使うからでしょうね。 | |
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ご存知のとおり、 「資本主義社会」で 暮らす人々にとっては、 「自分の持っている お金の大小」は、 そのまま、 『自分の 生存確率の大小』 に 直結しやすくなっています。 | |
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つまり、 「お金を使う」 という行為は、 『自分の生存確率を下げる』 という リスク面 を ともなっているわけです。 | |
(そんなふうに言われると、 今度から 買い物をするときに、 緊張 しちゃいそうだなぁ…) と、ふき は 苦笑しました。 | |
もちろん、 買い物における出費は、 単なる 「一方的な リスク」 ではありません。 | |
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お金を払ったことで 手に入った、 「食べ物」や「品物」が、 ふきくん の 日々の生活を補強し、 結果的に『生存確率を 向上させている』 面も あるわけですから。 | |
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うーん… ということは、 買い物には、 「完全な 損」ってものは、 存在しない… のかな? | |
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じゃあ、 僕が 買い物をしたときに 感じてる 『得した』『損した』 って 気持ち は、 どこから生まれて いるんだろう…?? | |
考えこんでいる ふき の 代わりに、 かみね が、 こんなことを言いました。 |
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購入したものが、 ふきさん が 「期待していたよりも」 良かった場合は『得』に… 悪かった場合は『損』に、 感じるのでは ないでしょうか? | |
そうだ、『期待』! たしかに、 買い物をしているときには、 ちょっとしたワクワク感… つまり「期待」が、 常にあるように、 ふき も 感じます。 | |
かみねさん の おっしゃられる通りです。 人間さんたちは、 「払った お金」(リスク)と 「得た 品物」(リターン)を 天秤に かけたとき… | |
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リスクのほうが大きければ 『損した』と 感じ、 リターンのほうが大きければ 『得した』と 感じるわけです。 | |
ふき は、 ナナメ上に目をやり、 過去に 自分が買い物を していたときのことを 思い出してみます… その中には たしかに、 思い当たる経験 が いくつも見つかるのでした。 | |
ただ、ここで忘れては いけないのは、 この場合の 「リスク」や「リターン」 というものは、 あくまで 『主観』によるもの だという点です。 | |
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『しゅかん』…? | |
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聞きなれない言葉に とまどう ふき に、 ネック が こう答えました | |
『 自分の感じ方 』 ってことよ? 「人それぞれ」って やつだね。 | |
そういえば、 聞いたことがあります。 「主観」と「客観」。 主観 は、 『 自分なりの 物の見方 』。 客観 は、 『 自分がどう思うかとは 無関係に存在する、 世の中の 事実そのもの 』 の ことだったはずです。 ネック の 説明に うなずいた ミューラー は… ここで 何を思ったか、 ちょっと、話の向きを 変えてきたのでした。 |