サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第5章『「DNAの生存本能」で「世の中」を考える』
「正義の物語」に 見られる、不思議な矛盾


■「正義の物語」に 見られる、
不思議な矛盾


『物語の中で語られている 正義』


執筆日 2018年 04月08日   最終更新日 2020年 06月30日





うーん…
それにしても…


『 善悪 』『 正義 』って、

そんなに アヤフヤ
ものだったのか…





ふき は、

今まで自分が信じてきた
「善悪」「正義」が、

意外にも 個人的 で、
意外にも うつろいやすい
ものだと知らされて、

かなり ショックを
受けてしまった
ようです…



そんな ふき
気づかってか、

かみね が、
こんな質問をしました。




そ、そういえば、

ふきさん が
今まで イメージしていた
『 正義 や 悪 』
って、

たとえば
どんな感じのもの
だったんですか?





うーん、
そうだなぁ…

すぐに思い浮かぶ
分かりやすい「正義」
だと、

子供っぽいかもしれないけど、
テレビ や 漫画、
ゲームなんかの、

『ヒーロー』
『勇者』かな…?





で、そうした物語の
世界には 必ず、

人々を独裁したり、
他の国を乗っ取ろうとしたり、
地球を滅ぼそうとする、

『悪の軍団』『魔王』
『宇宙からの侵略者』
『巨大生物』なんかが
いるんだ…





なるほど。

人々の生存確率を
下げようとする、

『分かりやすい巨大な 悪』と、

それに真っ向から
立ち向かう事で、

『人々の生存確率を
上げてようとする 正義』

とが、存在するわけですね。


実に 明確な関係
と いえます。




ミューラー が、

感心するように
うなずきました。





分かりやすい…
と言えば、

「昔話」の 中の
『正義・悪』
も、

単純で 分かりやすく
なってるよね。





『桃太郎』なら、
人々から金品を奪う鬼が「悪」で、
それを取り返す桃太郎が「正義」


『カチカチ山』では、
おばあさんに悪事をはたらいた
タヌキが「悪」
で、
それをこらしめるウサギが「正義」


『さるかに合戦』だと、
母ガニから柿を奪った上に
殺してしまったサルが「悪」
で、
敵討ちをした
子ガニ・栗・ハチ・臼・牛のフンが
「正義」
に なるんだろうなぁ…





こんな感じの
物語を聞いて
育った影響かなぁ…


僕の中では、
『 正義や悪ってものは、
白黒が すごく
ハッキリしたもの 』


っていう イメージが
すごく強く あった んだ。






そんな ふき の 説明を
聞いているうちに、

興奮してきた
ミューラー は、

何度も何度も、
力強く うなずくのでした。





う〜ん、なるほど!

これは、実に 実に
興味深いですね…





そ、そんなに
興味深いですか?

ミューラーさん。




ふきは、

トンビ紳士の 興奮ぶりに、

ちょっと うろたえて、
たずねました。









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『正義の物語の主人公たちは、
「DNA の 生存本能」的に見ると、
大きく矛盾している』





はい、実に面白いです!

ふきくん、
気が付きましたか?


今、ふきくん が
挙げてくださった、
数々の 正義の物語の中の、


「ある共通点」に …





え?

『共通点』 ??





そうです。

私は 今まで、

『生物は、自分の生存確率が
上がる場合を「得」』

『下がる場合を「損」と
感じます』


…と 説明させて
いただきましたよね?





たしかに、

これまで 何度となく、
ミューラーネック は、

そのように
話しておりました。







ところが、

お気づきに
なりましたか…?

ふきくん。





ふきくんが
話してくださった
物語の主人公たちは、

その誰もが、

『自分の生存確率を
向上させるために
行動しているわけでない』

ことに…






言われて ふきは、

しばらく、
自分の話した物語について
考えていましたが…






じょじょに、

「え?」 「あれ??」 と、
奇声を発しはじめました。








ほ、本当ですね…

どうして
なんでしょう?

不思議 です…





面白いねぇ。

「正義の主人公」たちって、

「誰かのために」
『悪』と 戦っては
いるけど、

『自分のため』には
戦っていなかった

んだね…






戦えば、
「自分の命が危なくなる」
ってのに、

なんで こんな、
『DNA からしたら
矛盾してること』

を するんだろ?

頭 オカシイ のかな?





ネック『理由』
知っていそうな
気配なのですが、

そんな 憎まれ口をきいて、
あえて核心を
はぐらかすのでした。





この 矛盾
どういう事なんでしょうね、
ミューラーさん?


やっぱり、「物語」は
ただの 作りモノだから、

『 DNA の 生存本能 』
で 見ると
メチャクチャな、
ただの 絵空事

って ことなんですか?





しかし ミューラー は、

ふき の 疑問に
ニッコリと ほほえんで
首をふりました。











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『人間は「正義の物語」に、
「自分たちの進むべき未来」を
垣間見ている』





いいえ、ふきくん。

こうした物語が
本当に 単なる
「思い付きだけの 絵空事」

だったら、

時代を越えて
人々に愛されることも
無かった
はずです。





『 DNA の 生存本能 』
『 自己保存の 欲求 』

だけでは
説明できない、

『 高度な生物だけが
持つことのできる、
ある特殊な視点 』
が、

こうした
「正義」の物語 の中には、
内包されているのです。





それゆえに

読み手の心の底の
共感
を呼び、

時代を越えて、
人々に愛されつづけている

のではないでしょうか?






『 高度な生物だけが、
持っている視点 』


というのは?





ふき が、

当然の疑問を
口にしました。





『 高度な生物 』…

つまり、
この地球上では、

ふきくんたち
『人間さん』を含む、
ごく一部の生物

しか 持てない、

物の見方 のことです。






『 正義の物語 』が
語り継がれる理由の1つは、

人間さんたちが、
その物語の主人公
を 通じて、

「自分たちの 進むべき道」
「未来の 自分たちの姿」
を 垣間見ているから

かもしれません…






ぼ、僕ら 人間が、

『正義の主人公』を通して
見ているもの
って…

一体 なんなんですか…??







この ふき の 問いに、

しかし ミューラー は、
ニッコリと ほほえむだけで、

答えては
くれませんでした。





ただ、

『 後日、必ず お話しします 』




という、
約束 だけを残して…



  



【下へ 続きます】



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