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で、どうだった? ふき。 『 DNA の 生存本能 』 って やつについて、 ジックリ 考えてみた 感想は? | |
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うーーん、 なんというか… ただ ただ、 ショック って 感じかなぁ。 | |
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「ショック」… と 言いますと? | |
首を かしげる かみね に、 ふき は 弱々しく 答えました。 | |
僕は、自分では、 『自分の 人生や将来は 人並みに「しあわせ」に 満ちている』って、 信じきってたし… | |
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『人間は、他の動物に比べて、 圧倒的に スゴい生物なんだ』 って、 漠然とだけど 疑いもせずに、 今まで 生きてきたんだ… | |
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でも、 僕ら 生物が、 『 DNA の 入れ物』の ようなものに すぎない って 知らされて、 たしかに 今まで自分は、 『 自分自身の 生存本能 』に 振り回されまくって たんだなぁ… て、 事実 に 気づいちゃった ら… | |
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なにか もう、 「自分自身」を含めて、 一体 何を信じれば いいのやら、 分からなく なっちゃって… | |
ふき は、 自分が今まで 信じてきた 『しあわせ』や、 「損得」、「敵・味方」、 「善悪 や 正義」 というものの 正体 が、 実は、DNA の 生み出す 『生存本能』という、 ただ 自分だけの生き残りを 最優先するという 『 独善的な 感覚 』 から生えた、 「枝葉」の 1つに すぎなかった… という事実が、 相当に 衝撃的 だったようです。 すると、 肩を落として うつむいている ふき の 背中を、 ネック が 後ろ足で ボイン! と 蹴飛ばしました。 | |
あのねー、ふき。 そーやって 『ショックを受けた』 ってことは、 少なくとも あんたの中に 『「事実」を 受け入れようと 努力する姿勢が 生まれてきた』 って ことじゃんよ? | |
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それって、 ふき の『成長』だって、 あたしは思うけどね。 | |
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…成長? | |
キョトンとする ふき に、 ネック が 深く うなずきました。 |