今まで、 『 DNA の 生存本能 』で さまざまな物事を 説明 してきた ミューラー が、 突然、そんな 不可解なこと を 言い出したので、 ふきたちは 仰天 しました。 | |
せ、『生存本能が 矛盾』 しているんですか? で、で、でも、 今までの お話を 聞くかぎり、 おかしな点は 無かった ように 思うのですが… | |
あわてふためく かみね に、 ミューラー が うなずきました。 | |
はい。 もちろん、 『生物単体』で 考えれば、 なにも 矛盾するところは ありません。 | |
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しかし 言うまでもなく、 生物は「単体」では、 長く生存することは できません。 単細胞生物なら まだしも、 「ある程度 高度な生物」に 進化 してくれば… | |
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多数が寄り集まって 『集団』となることで、 生存確率を上昇させよう としたり、 『他の個体と協力(結婚)』 することで、 自分のコピー(子孫)を 作ろう とする… といった流れが、 自然に発生してきます。 | |
この話は、 人間である ふき には、 とても よく分かります。 ふきたち「人間」が、 今のような 文明的な生活 が できているのは、 『 社会 』や『 国家 』という、 「他の個体と 協力し合う、 集合体のシステム」を 作れている所にこそ、 その理由がある からです。 | |
にも かかわらず、 我々の中にある 「生存本能」は、 相変わらず 『「自分の」生存確率を、 上げることこそが 最良!』 という姿勢を 崩しません。 | |
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その結果、 「他者との かかわり」 (社会)の 中において、 DNA 本来 の こうした「物の見方」は、 『 自分以外は 全て「敵」』 のようなものに なってしまうのです。 | |
『 自分以外は 敵 』??! 絶叫する ふきたちに、 ミューラー は 寂しそうに うなずきました。 | |
なぜなら、 自分以外の生物が 増えた り、 自分以外の生物の 生存確率が上がる という事は… | |
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相対的に見れば、 『 自分の生存確率が、 いくらか 下がってしまう ことと同じ 』 だからです。 | |
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これは もちろん、 同じ 種族同士 (たとえば 人間同士) であっても、 同じことです。 | |
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つまり、 『 DNA的に見れば、 自分以外の生物は、 たとえ同族であっても、 すべて「悪」(敵)』 なのです。 | |
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これが、 我々「生物」が 生きる上で、 根本的に抱えている 矛盾 … 『 DNA の 生存本能 』 の 大矛盾 なのです。 | |
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