ふき の勤めるゲーム会社には、 A から F までの、 6つのゲーム開発部署があり、 『 Fチーム 』 は、その1つです。 ただ、実は この 「Fチーム」… まさに今 ミューラー が 言ったような、 「会社にとって不利益な人間」 を、 集めた部署なのです。 できるだけ 周りから隔離して、 疎外感をうえつけ、 自主退社するよう 仕向けるために 設けられた、「窓際」部署… ふきは、開発ではなく 「サポート部門」 なのですが、 Fチームの社員が 寂しそうに肩を落として 社内を歩いているのを見るたびに、 『 自分は こいつらとは違って、 上層部に愛されているんだ。 自分は しあわせだな〜 』 などと、安堵(あんど) を 感じていたものでした。 しかし、 逆に自分が、そうした部署に 放り込まれたとなると、大問題 です。 『 自分の生存確率を高める 』 ために、 社内で取るべき行動を、 考えなおす必要が出てきます。 今までは、 「与えられた仕事を、 キチンと こなしていれば、 会社も自分のことを認めてくれる」 と、単純に考えてきましたが、 こうした部署に与えられる仕事は、 「会社にとって重要ではない、 どうでもいい作業」 である 可能性が高いです。 そんな仕事を 躍起になって こなしたところで、 本当に上層部に 実績を認めてもらえる ものでしょうか…?? それに、「周りの同僚と仲良くする」 のも考えもの です。 周りの同僚は、 「会社にとっては、鼻つまみ者」 なのですから、 彼らと仲良くしたり、 意気投合すればするほど、 ふき の 社内での立場は 悪くなる一方 でしょう… | |
うーん… 他の部署に 有力な知り合いを作るか、 上層部に直接、 自分が会社に貢献できる仕事を アピールするとか しないと、 このままだと、いつか必ず、 会社を辞めざるをえなくなるよね… いずれにせよ、 この部署に いつづけるのは、 絶体にキケン だよ… | |
ふき が そう答えると、 ミューラー は、 先ほどより少しうれしそうに うなずきました。 | |
それでは、 さらに範囲を広げて、 「業界内の 1会社」 として、 この会社を見てみましょう。 実は この会社、 業界内では、「売り上げが トップクラス」 なのですが、 その営業手段が 実に悪質 で、 お年寄りや、病弱な人たちを、 ダマしたり 脅したりして、 ムリヤリ契約を取りつける、 そんな企業なのだとか… | |
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だとすれば、ふきくんは、 『 自分の生存確率を高める 』 ために、 どうすれば良いと思いますか? | |
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…えっ!?? | |
ここで ふき は、 一気に混乱しました。 自分の勤めている会社が、 実は 『 悪徳企業 』 …?? だとすると、さっき 「仲良くすべきではない」 と考えた、 部署の同僚の見え方も変わります。 彼らは 実は、 「会社の悪事に したがえない」 からこそ、 なかなか成績を出せず、 会社に煙たがられていた 可能性も ある からです。 |