ふき が ネック と 公園で会ってから、 気づけば もう、 2ヶ月ちょっと が過ぎ、 すでにカレンダーは、 「3月」 の半ば に なっておりました。 最近は、心地良く あたたかい 日の光が ふりそそぐ日も増え、 近づいてくる春を予感させます。 そんな ゆるゆる とした 日差しの そそぐリビングで、 今日も、ふき と 3匹の動物たち は、 まるく座って、語り合うのでした。 | |
あたしが この家に 住むようになってから、 本当に いろんな事が あったねぇ、ふき… あんた ご自慢の 「しあわせ」 を、 耳にタコができるぐらい 聞かされたり… | |
(「聞かされた」 って 言い方は ないでしょうに…?) ネック の 物言いに、 ふきが ちょっと イヤな顔をしました。 | |
私が こちらに 住まわせていただくように なってからは、 ふきくん の 主張される 「しあわせ」 について より深く再考 してみたり しましたよね。 | |
キツい経験もしたけれど、 たしかに ふき にとって、 「今までの自分を見なおす キッカケになった、 有意義な時間」 でした。 | |
わたしが こちらに うかがってからは、 『 しあわせ や 良し悪し の 正体は、DNA の 生存本能 』 という お話が出て、 本当にビックリしました… | |
これは、本当にショックでした。 「複雑きわまりない」 と ばかり思っていた 自分たちの価値観の正体が、 実は、『 生きのびたい 』 という たった1つの思いから生えている さまざまな枝葉 に すぎなかったなんて… 自分たち人間は、 もっともっと高度な生命体だと 思いこんでいた ふき にとって、 この 「真実」 は、 真実なだけに、 ボディーブローのように、 日に日に、シンシンと、 心に こたえてくるのでした。 | |
さて、ふき…? 今さらだけど、 「あたしが この家に来た理由」、 あんたは もちろん 憶えてるよね? | |
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え…!? も、もちろん… | |
そう言いつつ ふき は、 初めて ネック と 会った 夕方の あの公園のことを、 必死に思い出そうと、アセりました。 |