ふき は、 この1週間で感じた さまざまなことを、 ネックたち に 説明していきました。 『 買い物をするときに、 自分にとっての 品物の価値について、 深く考えるようになったこと 』… 『 自分の仕事が、どのようなかたちで 世の中につながっているか? を、 意識するようになったこと 』… 『 人間関係が、なんとなく 良い方向に変わってきたこと 』… 『 今までに無い、 高いモチベーションで、 転職を考えるようになったこと 』… また、それ以外にも、 「生存本能」 という物の見方 を 知ったことで、 今までは 「複雑すぎて理解すら不可能」 と 思いこんでいた 世の中のさまざまな物事が、 実は、『 バカバカしいほどシンプルな 裏側 (個人の欲望) から生えた枝葉に すぎないケースが、かなり多い 』 ことに 気づいて、 仰天するやら、あきれるやら… といった経験を、 いくつも してきたことを、 思い出せるかぎり 説明してみたのでした。 その間、ミューラー は、 何度も何度も 静かにうなずき、 かみね は、 ときに袖を口元に持っていって 目をうるませ、 ネック は 無言で、 しかし、おだやかな表情のまま、 ふき の話に 耳を傾けるのでした… さて、 こうして ふき は、 「この1週間の気づき」 を 語り終えたのですが… 3匹は、なにかを 深く考えているようで、 自分の少し下を向いたまま、 なかなか ふき に 答えようとはしませんでした… そんな中、 最初に口を開いたのが、 ネック でした。 | |
なるほどねぇ。 ふき は、だいぶ 飲み込めてきたようだね。 「自分たち人間も ただの生物」 で、 「生存本能に 振り回されてる」 ってことが、 「良い」 とか 「悪い」 とかじゃなくて 単なる 『 事実 』 なんだ って… | |
ネック の ほのかな笑顔を見て、 ふき は ドキドキしながら たずねました。 | |
ということは、 『 最終試験 』 は… 合格? | |
その言葉に、 ネック は しばらく、 ふき を 見つめながら、 こんなことを言ったのでした。 | |
うーん… いや。 最後に、大切なことを1つだけ 質問することにするよ、ふき。 合格かどうかは、 その答え次第だね。 | |
ふき は、 ゆるみかけた気持ちを、 あわてて しめなおしました。 |