■ ふき の悟りと、ネック の告白(3/9)






今の あんたはさ、ふき

「生物の真理」 を 知ったことで、

自分の 『 生きる意味 』 とか、
『 生きる方向性 』 ってやつを
自覚できるようになって、

深ーい 充実感の中にいる
と 思うんだよね。





まったく その通りです。

ふき は、深くうなずきました。









でもさ。

そうやって
「真理」 を つかんだあんたも、

そのうち 中年になって、
おじいちゃんになって、

やがては 死んじゃう んでしょ?





だったらさ、

今 感じてる、その充実感なんか、
結局 『ムダ』 なんじゃないの?



どんだけ 物やお金を
ためこんでも、ムダ…

どんだけ実力を積み上げて、
人間的に成長しても、ムダ…


『持ち主である あんたが、
消滅しちゃう』
んだからね…





ゲームで言えば、

いつか必ず 「リセット」 が
かかっちゃう
わけなんだけど…


ふき は それに、
疑問は感じないのかな…






突然、

『 生きる意味 』 そのものを
否定するようなこと

言い出した ネック でしたが、

ふき は、その 「顔つき」
心当たりがありました。



これは、以前に ミューラー
見せたことのある、

なにか 「引っかけ」
隠しているときの顔
です。




でも、そんな表情うんぬんを
抜きにしても、

ふき には すでに、

ネック の 質問に答える
準備ができていたのでした。





僕も最初は、
そこにぶつかって、

愕然 としましたよ。

ネックさん…





実は ふき は、
この1週間の思考の中で、

今 まさに ネック が 語った 『 壁 』 に、

一度 ぶつかってしまっていた
のです。





日々の生活をこなすのに
躍起になっていた頃には、

そんな事、気づきもしなかったのに、

今後、自分は どんな人生を
歩んでいくんだろう?
って、
冷静に考えていったら…


ミューラーさん が
言っていたように、

考える範囲を、
未来へ、未来へ 広げて…

「それからどうなる?」、
「それからどうなる?」 って
考え続けて
いったら…





どこを どうやっても、

最後の最後に、
どーーーしても、

『 自分の死 』

ぶつかっちゃって…





じゃあ、

僕が今 積み上げている
いろいろな 「しあわせ」 も、

最後は必ず 『 消滅 』 しちゃう
んじゃないか…
って気づいたら、

目の前が 真っ暗になりましたよ…





ふき の 言葉に、

ミューラー が、
しみじみと深く うなずきながら、

こう言いました。







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