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今の あんたはさ、ふき。 「生物の真理」 を 知ったことで、 自分の 『 生きる意味 』 とか、 『 生きる方向性 』 ってやつを 自覚できるようになって、 深ーい 充実感の中にいる と 思うんだよね。 | |
まったく その通りです。 ふき は、深くうなずきました。 | |
でもさ。 そうやって 「真理」 を つかんだあんたも、 そのうち 中年になって、 おじいちゃんになって、 やがては 死んじゃう んでしょ? | |
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だったらさ、 今 感じてる、その充実感なんか、 結局 『ムダ』 なんじゃないの? どんだけ 物やお金を ためこんでも、ムダ… どんだけ実力を積み上げて、 人間的に成長しても、ムダ… 『持ち主である あんたが、 消滅しちゃう』 んだからね… | |
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ゲームで言えば、 いつか必ず 「リセット」 が かかっちゃう わけなんだけど… ふき は それに、 疑問は感じないのかな… | |
突然、 『 生きる意味 』 そのものを 否定するようなこと を 言い出した ネック でしたが、 ふき は、その 「顔つき」 に 心当たりがありました。 これは、以前に ミューラー が 見せたことのある、 なにか 「引っかけ」 を 隠しているときの顔 です。 でも、そんな表情うんぬんを 抜きにしても、 ふき には すでに、 ネック の 質問に答える 準備ができていたのでした。 | |
僕も最初は、 そこにぶつかって、 愕然 としましたよ。 ネックさん… | |
実は ふき は、 この1週間の思考の中で、 今 まさに ネック が 語った 『 壁 』 に、 一度 ぶつかってしまっていた のです。 | |
日々の生活をこなすのに 躍起になっていた頃には、 そんな事、気づきもしなかったのに、 今後、自分は どんな人生を 歩んでいくんだろう? って、 冷静に考えていったら… ミューラーさん が 言っていたように、 考える範囲を、 未来へ、未来へ 広げて… 「それからどうなる?」、 「それからどうなる?」 って 考え続けて いったら… | |
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どこを どうやっても、 最後の最後に、 どーーーしても、 『 自分の死 』 に ぶつかっちゃって… | |
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じゃあ、 僕が今 積み上げている いろいろな 「しあわせ」 も、 最後は必ず 『 消滅 』 しちゃう んじゃないか… って気づいたら、 目の前が 真っ暗になりましたよ… | |
ふき の 言葉に、 ミューラー が、 しみじみと深く うなずきながら、 こう言いました。 |