話し終わった ふき は、 「ふう」 と 一息をつきました。 ふき自身、こうした考え方には、 まだ つい最近 辿りついた ばかりだったので、 自信が無くて 緊張していたのですが… ネック と ミューラー が、 静かに深く うなずき合っている のを見て、 ようやく ホッと 安堵したのでした。 ただ、ネック は、 まだ なにか 「引っかけ」 を 隠しているような顔つきで、 ふき に、こんな質問を してきたのでした。 | |
でも さぁ… ふき。 「自分の子供を残す」 ことが そんなに重要で 大切なことだっていうなら、 たまに ニュースで取り上げられてる 「性犯罪」 の 犯人は、 『 DNA の 視点』 からすれば、 別に 悪くないんじゃないの? | |
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それは言えますねぇ。 性犯罪の犯人さんは、 「自分の DNA のコピーを、 将来に残したい」 という、 根源的な欲求から、 そうした行為に 走っているわけですから、 それを 「罪」 に 問うなんて、 生物本来の姿として矛盾する ように思えますね。 | |
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むしろ、 「人間という種の総数」 を 増やすことに つながるかも しれない わけですから、 「性犯罪」 は、『 善行 』 とすら 言えるのではないでしょうか? | |
ミューラー も、 「例の顔つき」 を浮かべながら、 ニコニコ と ふき に そんなことを問うのでした。 かみね は、 突然 そんな不可解なことを 言い出した2匹に、 『 な、な、な…? 』 と、 混乱と怒り で、 ドモってしまいました。 ところが ふき は、 まったく うろたえず、 サラリと、こう返したのでした。 |