| |
いや、それは違いますよ。 ネックさん、ミューラーさん。 単純に 『 自分の DNA をコピー 』 するだけじゃ、片手落ち です。 | |
| |
「片手落ち」… というと? | |
そう問いながらも、 ネック には もう、 その先が見えているようでした。 | |
だって、 『 自分のコピー 』 である 赤ん坊が生まれたとしても、 『 その子が一人前になるまで 育つことのできる環境 』 を 両親が作って あげられなければ、 せっかく生まれた その子も、 まともに育たないか、 亡くなってしまう ことだって あるんですから… | |
| |
両親になる2人が、 お互いを尊敬できるような 良い恋愛の果てに 結婚する からこそ、 いろんな困難のある 「家族生活」 や 「子育て」 も、 協力して 乗り越えていける 可能性が高くなる わけで… | |
| |
『 生まれてくる子供が、安心して 育っていける環境 』 を 提供する気が、 最初から全く無い うえに、 「犯人」 と 「被害者」 という、 お互いを尊敬し合えるはずがない 関係でしかない 「性犯罪」 は、 本来の 『 子づくり 』 とは、 全く異なる行為なんじゃないかな…? | |
| |
「子供が安心して 育つことのできる環境」 を、 子供さんに提供できて、 はじめて… その生物は、本当の意味で 「子づくり」 に… 『 自分の DNA のコピー 』 に、 成功した と言えるわけですね? | |
ふき は、 静かに うなずきながら、 ほほえみました。 | |
だから僕も これからは、 「付き合うべき女性」 を、 将来まで見すえて、 もっと根本から 考え直してみたい し… この社会の中で 生きのびていくための 強さになる、 『 知識 や 技術 』 も、 もっと身に付けたい し… | |
| |
自分が かかわる 「仕事」 が、 ちゃんと この社会全体の 生存確率を上げて、 それが回り回って、 自分たち家族の生存確率も 上げるようなもの で ありたいと思うし… | |
| |
今イチ よく分からない 「政治」 とか 「投票」 についても、 「よく分からない」 で 終わらさずに、 その政策や政治家が 本当に 長期的に見て、 僕たちの生存確率を 上げてくれるものかどうか…? を、 可能なかぎり 考えた上で、 支持する相手を選んでいきたい と思うんだ。 | |
| |
そんなふうに ふきくん が、 「環境」 を 用意する からこそ、 いつか生まれてくる ふきくん の 子供さんも、 その中で のびのびと 育っていける… ということですね? | |
ふき は、照れながら うなずきました。 |