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DNA の 話を 初めて聞かされたときは、 『 自分が生きのびることが 一番大切 』 なんて、 すごく身勝手な思考 だと ばっかり思っていたけれど… | |
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冷静になって考えてみると、 むしろ、それは逆 だったんだね… 『 本当に真剣に、 自分の DNA を将来に残す 方法を考えるからこそ、 他人や世の中が、 切っても切れない、 ものすごく大切な要素だって 気づける 』 んだ。 | |
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今までの僕は、 「自分が生き残る」ってことを 真剣に考えていなかったから、 周りにも そんなに 関心が無かった し、 他人のことも 軽視していた んだなぁ… 自分をトコトン大事にした結果、 他人の つながりの大事さに 気づける なんて、 今この瞬間も、 不思議で ならないよ… | |
話し終わった ふき は、 腕組みをして、 自分が発見した 「不思議」 を、 しみじみと再確認 しているようでした。 ネック・ミューラー・かみね は、 そんな ふき の姿に、 お互い、とても しあわせそうに うなずき合うのでした。 そのとき ふと、ふき は、 ネック に 大切なこと を 伝えなければならないのを 思い出し、 脇に置いてある ペットショップの袋を ガサガサと かき回しました。 | |
えーと… ところで、ネックさん? | |
ふき が 手にしていたのは、 帰りがけに買った 「愛らしいピンク色の 猫用の首輪」 でした。 | |
もし 良かったら、 このまま ウチで、 いっしょに暮らしませんか? 公園でのノラ生活も 気軽でしょうけど、 ウチなら雨風も しのげるし、 冬とかも あったかいですから、 ネックさん の 生存確率も上がる と 思うんですよね。 | |
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もちろん、 柱でツメとぎとか されるのはアレなんで、 そこらへんは、もうちょっと 僕の言うことを 聞いてほしいというか、 妥協点を話し合っていきたい とは思ってますけど〜? | |
そんなふうに 茶化しながらも、 ふき は 真剣に、 ネック との暮らしを 望んでいました。 この3ヶ月ほど、 ネック と 生活を共にしてみて、 ナマイキだけど、 物事の本質 を するどく見極める 彼女との暮らしは、 楽ではありませんが、 今までに無い、深い充実感を ともなっていた のです。 それに、 『 自分の子供を残し、 自分の DNA を未来に引き継ぐこと 』 が、生物の ほとんど 本目的 の ようなものだと気づいたとき… 以前に、子供を残せない ネック のことを 『 女モドキ 』 と あざ笑って しまったことへの、 お詫びの意味も、 そこには、含まれていたのです。 |