さて、 そんな気ままな猫たちの 1匹である ネック が、 その日、 公園の端にある 小さな林 の そばを 歩いていると… フイに 頭上 から、 おじいさん のような声が 降ってきました。 | |
おお、 ネック ではないか? 久しぶりじゃなぁ。 | |
ネック は 足を止めて、 頭上に広がる 木々の 枝の群れ を ちょっと あおいで、 答えました。 | |
あんたも ヒマそうだねぇ、 じいさん。 | |
ネック に 声をかけてきたのは、 かみね の 師匠でもある、 「キツネの おじいさん」です。 この 小さな林の中にある 「名もない、小さな社」 から生まれた、 精霊というか、 妖怪というか… よく分からない 生き物 です。 見た目は 老いた オス狐 で、 神社の人が着ている服を キツネの体格に合わせたような、 そんなものを、 身にまとっています。 本人にもハッキリとは 分かりませんが、 もう、この社とともに、 400〜500年ほども 生きている のだとか… ネック は 3年前、 この公園に捨てられて すぐの頃 に、 たまたま この 小さな社の 鳥居を くぐったところ… 「ここを訪れた 800万匹目の動物」 ということで、 この おじいさんから、 『 3つの願い 』を かなえてもらえる という ラッキーを 授かりました。 そんな ネック が、 「1つ目の願い」で 手に入れたのは、 『 人間と同じような、賢い脳 』 でした。 おかげで ネック は、 最初の頃こそ、 初めてのノラ生活で 警戒していた 近所の人間たち に対しても、 彼らの中の「好意」が 理解できるようになり、 少しずつ 打ち解けて いきました。 そして 今では、 他の猫たちと同じように、 近所の人間たちに 世話をしてもらいながら、 気ままなノラ生活を 送っている わけです。 もちろん、 『 自分が、人間と同レベルの 思考ができること 』は、 周りの人間たちには 内緒 です。 当時から そのするように キツネの おじいさん から アドバイスも されて いましたし、 ネック自身も 今は、 「そのほうが、いろいろと 都合がいい」ことを 知っているからです。 |