■ 白猫ネックの望んだ
『2つ目の 願い』(2/7)

『ネックは、社の キリ番ゲッター』





さて、

そんな気ままな猫たちの
1匹である ネック が、


その日、

公園の端にある
小さな林 の そばを
歩いていると…



フイに 頭上 から、

おじいさん のような声が
降ってきました。





おお、
ネック ではないか?

久しぶりじゃなぁ。





ネック は 足を止めて、

頭上に広がる
木々の 枝の群れ
ちょっと あおいで、

答えました。





あんたも
ヒマそうだねぇ、

じいさん





ネック
声をかけてきたのは、

かみね師匠でもある、
「キツネの おじいさん」です。






この 小さな林の中にある
「名もない、小さな社」
から生まれた、

精霊というか、
妖怪というか…


よく分からない
生き物
です。




見た目は
老いた オス狐 で、

神社の人が着ている服を
キツネの体格に合わせたような、

そんなもの
を、
身にまとっています。




本人にもハッキリとは
分かりませんが、

もう、この社とともに、
400〜500年ほども
生きている
のだとか…


  





ネック3年前

この公園に捨てられて
すぐの頃
に、

たまたま この
小さな社の 鳥居を
くぐったところ…



「ここを訪れた
800万匹目の動物」

ということで、

この おじいさんから、

『 3つの願い 』を
かなえてもらえる

という ラッキーを
授かりました。




そんな ネック が、
「1つ目の願い」
手に入れたのは、

『 人間と同じような、賢い脳 』
でした。








おかげで ネック は、

最初の頃こそ、
初めてのノラ生活で
警戒していた
近所の人間たち に対しても、


彼らの中の「好意」
理解できるようになり、

少しずつ 打ち解けて
いきました。





そして 今では、
他の猫たちと同じように、

近所の人間たちに
世話をしてもらいながら、

気ままなノラ生活を
送っている
わけです。








もちろん、

『 自分が、人間と同レベルの
思考ができること 』
は、

周りの人間たちには
内緒 です。



当時から そのするように
キツネの おじいさん から
アドバイスも されて
いましたし、


ネック自身も 今は、
「そのほうが、いろいろと
都合がいい」
ことを
知っているからです。









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