■ 白猫ネックの望んだ
『2つ目の 願い』(5/7)

『あたしの 残り寿命は?』





いや…

すまん ネック


わしら「神さま」は、

そうした
『命を どうこうする』
というような
大きな願いごとを

かなえる力は
持っていないんじゃ…





あくまで、
本人の人生の「キッカケ」に
なる程度のこと
しか
してやれん…


「ガンを完治」させたり、
「永遠の命を与える」ような、

大それたことは、
無理
なんじゃ…





それを聞いた ネック は、

怒ったような
泣きそうな顔をして、
怒鳴りました。






はああ!? 何よ それっ!

あんた、あたしの
『1つ目の 願い』
かなえるときも、

「これは できない」
「あれは ダメ」
って、

どんだけ 制限したと
思ってんのよ!!





あーあ、

こんなだったら、
『 3つの 願い 』なんて
もらわなきゃ良かったよ…


期待させるだけ
させといて、


結局、何の役にも
立たない
じゃないの…





少し涙目になりながら、

そんなふうに
怒鳴りちらしていた
ネック でしたが…



おじいさん が 悲しそうに
うつむいている
ことに
気付いて、

自分も うつむいて
しまうのでした…







うん…

まあ、いいよ…


で、相談 ってのは 何?

『 2つ目の願い 』に
ついて
なんでしょ?





ネック に 言われて、

おじいさん は、
申し訳なさそうな
顔をあげました。





うむ… そうなんじゃ。

わしの力では、
おぬしの病気を
治してやることはできん…



ただ、ガンの症状である
「痛み」を 取りのぞく

ぐらいのことは、
できるんじゃ。





ふーん…

そうすっと、
どうなるの?





うむ。

おぬしの寿命は 当然ながら、
ガンによって
短くは なってしまうが、

『ガンによる痛み』で
苦しむことは無い
ので、

寿命が 来るまでは、
ほぼ「今までと同じような生活」が
続けられる
はずじゃ。





ガンのせいで
短くなっちゃった、
あたしの
『残りの 寿命』って…


あと どれぐらい?





そうじゃな…


だいたい、
『 残り 半年 』
ぐらいじゃ。


「来年の 春ごろ」まで…
という感じじゃな…





ふーん…

けっこう 短いんだ…





ネック は、

ぼんやりと
考えこみました。



『まだ若い自分が、
もうすぐ ガンで死んでしまう』

というのは、

なかなか 実感が
わいてきません…




それでも、

『 どうして 自分が? 』
といった
理不尽さへの 怒り

のような思いと、

なにか とても暗く 深い穴 に、
少しずつ引き込まれていくような
ジンワリとした 恐怖 に、

胸が ドキドキ ザワザワ
するのでした。









そんな ネック
様子を見ていた
キツネ の おじいさん は、


さらに もう1つ、

こんな提案
したのでした。








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