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いや… すまん ネック… わしら「神さま」は、 そうした 『命を どうこうする』 というような 大きな願いごとを かなえる力は 持っていないんじゃ… | |
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あくまで、 本人の人生の「キッカケ」に なる程度のこと しか してやれん… 「ガンを完治」させたり、 「永遠の命を与える」ような、 大それたことは、 無理 なんじゃ… | |
それを聞いた ネック は、 怒ったような 泣きそうな顔をして、 怒鳴りました。 | |
はああ!? 何よ それっ! あんた、あたしの 『1つ目の 願い』を かなえるときも、 「これは できない」 「あれは ダメ」って、 どんだけ 制限したと 思ってんのよ!! | |
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あーあ、 こんなだったら、 『 3つの 願い 』なんて もらわなきゃ良かったよ… 期待させるだけ させといて、 結局、何の役にも 立たない じゃないの… | |
少し涙目になりながら、 そんなふうに 怒鳴りちらしていた ネック でしたが… おじいさん が 悲しそうに うつむいていることに 気付いて、 自分も うつむいて しまうのでした… | |
うん… まあ、いいよ… で、相談 ってのは 何? 『 2つ目の願い 』に ついて なんでしょ? | |
ネック に 言われて、 おじいさん は、 申し訳なさそうな 顔をあげました。 | |
うむ… そうなんじゃ。 わしの力では、 おぬしの病気を 治してやることはできん… ただ、ガンの症状である 「痛み」を 取りのぞく ぐらいのことは、 できるんじゃ。 | |
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ふーん… そうすっと、 どうなるの? | |
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うむ。 おぬしの寿命は 当然ながら、 ガンによって 短くは なってしまうが、 『ガンによる痛み』で 苦しむことは無い ので、 寿命が 来るまでは、 ほぼ「今までと同じような生活」が 続けられる はずじゃ。 | |
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ガンのせいで 短くなっちゃった、 あたしの 『残りの 寿命』って… あと どれぐらい? | |
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そうじゃな… だいたい、 『 残り 半年 』 ぐらいじゃ。 「来年の 春ごろ」まで… という感じじゃな… | |
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ふーん… けっこう 短いんだ… | |
ネック は、 ぼんやりと 考えこみました。 『まだ若い自分が、 もうすぐ ガンで死んでしまう』 というのは、 なかなか 実感が わいてきません… それでも、 『 どうして 自分が? 』 といった 理不尽さへの 怒り のような思いと、 なにか とても暗く 深い穴 に、 少しずつ引き込まれていくような ジンワリとした 恐怖 に、 胸が ドキドキ ザワザワ するのでした。 そんな ネック の 様子を見ていた キツネ の おじいさん は、 さらに もう1つ、 こんな提案 を したのでした。 |