■ われわれ生物に、
『生きる意味』など無い?(1/3)

『あたしの首輪』


執筆日 2018年 06月06日   最終更新日 2020年 01月14日





ふき は、

大きなショック の中を
ただよいながら、

ネック の 語る、
「3ヶ月前の話」を、
聞き終わりました。


  




この、

ちょっと
イヤミくさいけれど、

どこか
中性的な さわやかさ
を 持った白猫が、

すでに『ガン』に
おかされている…





そして もうすぐ、
自分の前から

それどころか、
この世の中の どこからも、

キレイさっぱり
いなくなってしまう…





それは
まったく 信じがたい、

信じたくない 事実
でした。









そんな ふき の、
うつむいたホロ苦い顔に
気づいた ネック は、


ちょっと 困ったように
ほほえんで、

鼻で ため息をつきました。





そーんな シケたツラ
してんじゃないわよ、ふき


あー、はいはい。

じゃ、その『 首輪 』
もらっときましょ?

ほれ、とっとと あたしの首に
着けてみなさいよ。





そう言って
首を伸ばしてくる ネック に、

ふき は ちょっと
ふるえる手つきで、

ピンクの 愛らしい首輪
巻いてあげたのでした。












どれどれ?

キュートな あたしが、

さらに どんだけ
キュートになったかしら〜?





そんな事を言いながら、

軽やかに鏡の前に
歩いて行った ネック は、


その中に映っている
自分の姿 を 見たとたん、

それまでの軽口が
プッツリと止まったのでした…





…へえ。

こんな なんだ…


…ふーん。





そんな よく分からないことを
つぶやきながら、

ネック
鏡の中の自分を、
恥ずかしそうに
チラチラと 眺めつつ、


首もとの 首輪を、
愛(いと)おしそうに
何度も なでています…





ふき は もちろん、

ミューラーかみね も、

普段はサバサバしている
ネック が 見せた、
少女のような意外な反応 を、

寂しくも、ほほえましく
見つめたのでした…


  






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