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第8章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」1』→ 生物滅亡の原因は『環境破壊』? |
「環境破壊」によって 大きなダメージを受けるのは、 実は、高等ゆえに適用性の低い 『人類そのもの』… これは ふき にとって、 色々と考えさせられる 事実でした。 | |
そうか… 僕ら人間は、もっと、 『 地球に やさしく 』 しなければ ならないんだね… | |
ふき の そんな言葉に、 ネック が 苦笑いしつつ、 こんなことを言いました。 | |
「地球に やさしく」… とは、 また ずいぶん 『 上から目線 』で いらっしゃいますわね、ふき? | |
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で、でもさ。 地球の自然環境に 大きなダメージを 与えているんだから、 もっと 「地球に 気を使って」、 人間にできる範囲 のことを… | |
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自然環境の維持のために 努力をする ことは、 もちろん 大切なことだと 思いますよ? ふきくん。 | |
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でも それは、 「地球のため」ではなく、 『 人間さんなど、 地球の表面で暮らしている 生物たちのため 』だけ でしかありません。 | |
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そもそも、 われわれ 「ちっぽけな生物たち」が、 この「巨大な地球」に 与えられる影響など、 本当に あまりにも ささやか なのです。 | |
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そ、そんなに 「小さい」ですか?? 僕たち… | |
ふき の疑問に、 かみね が、また スマホ(のようなもの)を いじりはじめました。 |
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調べてみたのですが… わたしたちの住んでいる 地球の大きさは、 『 12,742 km 』 だそうですよ? | |
かみね の 言葉に、 ミューラー は、 ニッコリと うなずきました。 | |
ありがとうございます、 かみねさん。 その情報に加えて、 我々の生活していける範囲… 「影響を及ぼせる範囲」 についても 計算してみましょう。 | |
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たとえば、 高さ 3776m の「富士山」 の 頂上あたりですら、 多く人が 高山病 に なってしまいますし… 世界最高峰の 「エベレスト」(8848m) ともなれば、 シッカリとした装備なしでは 死の危険 すら あるそうです。 | |
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また、海の中にも 生物はおりますが、 1000メートル… 1キロほど も 潜れば、 そこで暮らす生物の数は 激減することでしょう。 | |
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それらをあわせて 考えてみると、 われわれ生物が まともに生活したり、 その影響が 露骨に あらわれる範囲 は… | |
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せいぜい、 『 地球の表面の 5キロ範囲ぐらい 』 ではないでしょうか? | |
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「厚さ 5キロ」かぁ… 地球の大きさから見ると、 ちょっと 薄いかな? | |
それでも、 かなりの ブ厚さです。 高さ 634メートルの 『 東京スカイツリー 』を、 縦に8本 … 『 東京タワー 』なら、 実に 15本 を 重ねたほどもある 厚み なのですから。 | |
それでは、 「生物による 地球への影響の大きさ」を 実感しやすくするために、 地球を、 『人間さんの顔』 に たとえて 考えてみることに しましょう。 | |
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人間さんたちの 身長を「170 cm」、 頭との比率を 「7頭身」とすれば、 頭の大きさは だいたい、 『24cm』になります。 | |
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つまり、 「地球の大きさ」は、 人間さんの 顔の 『 5310万倍 』 もある ということですね。 | |
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ぐえ!! | |
ふき は、 「5310万個の 人間の顔」が ズラリと縦に並んだ光景 を想像して、 頭がクラクラしました。 「地球は 大きい」 ということは 知っていたつもりですが、 こうして あらためて 比較してみると、 もはや 比較すること自体が バカバカしくなる ほどの、 歴然とした差 を 感じずにはおれません… | |
て ことは、 どういう事よ? ミューラー。 | |
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はい。 ここから 逆算して、 われわれ生物の生活圏を 「5310万分の1」に したもの を、 人間さんの顔の表面に 貼りつければ、 人間さんは 疑似的に、 「地球の気分」を 味わえる というわけです。 | |
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『厚さ 5km』の 「5310万分の1」は… 「 0.094 mm 」。 ほぼ『 0.1 mm 』ですね。 「紙」が、だいたい それぐらいの厚さでは ないでしょうか? | |
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そんなに 薄いんですか!! | |
ふき も 同感でした。 自分の顔に、 そんな 薄っぺらいもの が 貼り付いていたとしても、 気にするものでしょうか? しかも、 別に その範囲内に、 汚れがゴッテリ詰まっている わけではありません。 あくまで これは、 「生物の 生活範囲」 の話に すぎないのです。 |
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ちなみに… ご存知ですか? ふきくん。 人間さんたちの顔には、 『 顔ダニ 』と 呼ばれる、 小ーさな虫が、 200万匹 ほど 住んでいることを。 | |
そういえば、 テレビか何かで そんな話を、 聞いたことがあります。 | |
顔ダニの大きさは、 『4匹並べて、ようやく1ミリ』 ぐらいの、 大変に小さなものです。 そんなものの存在を、 日頃から自覚できている 人間さんなど、 おそらく いらっしゃらないでしょう… | |
ふき は うなずきました。 自分自身、 これまでの人生で、 そんなものを 気にしたことが無かった… 気がついたことすら 無かった からです。 | |
ところで、 もし 先ほどとは「逆」に、 『 人間さんの顔を、 地球と同じ大きさまで拡大 』 したとしたら、 この「顔ダニ」… どれぐらいの大きさに なると思いますか? | |
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え!? えーと… 「4匹並べて、ようやく1ミリ」 の ものすごく小さな虫を、 5310万倍 に するんだから… | |
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全長 13.3キロ メートル …です。 ふきくん。 | |
ふき は 絶句しました。 この地球上で、 『 富士山 の 3.5倍 』 もあるバケモノが 200万匹 も 徘徊していたら、 われわれ生物にとっては 「この世の 終わり」です。 でも、 人間が「顔ダニ」を 気にしない のと 同じように、 地球の表面で 10キロメートルほどの 生物が暴れ回っても、 地球は『知らんがな』と 涼しい顔をするはず… それほどまでに、 あまりに 地球は巨大 で、 われわれ生物は、 あまりに極小 なのです。 「地球に やさしく」 なんて、 とんでもなく思い上がった、 勘違いも はなはだしい 『 上から目線 』… ふき は 久しぶりに、 耳まで真っ赤になるような 恥ずかしさを感じたのでした。 | |
ほれ、ふき。 それを踏まえて、 もう1ぺん言ってみ? 「人間は 今後、どうすべき」 なの? | |
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はい… 僕ら「人間」は、 地球さんの表面に 住まわせてもらっている 『 極小生物 』としての 分をわきまえて… | |
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せめて、自分たちの 首を絞めないよう に、 キレイに 使わせて いただければ… とだけ、 切に 願う所存です。 | |
ネック は、 満足そうに ほほえんで、 ふき の 背中を 前足でペンペンと 叩いたのでした。 |
『環境破壊』 は、 生物だけの範囲の問題です。 「地球のため」 などではなく、 単に『自分たちの生存のため』 に やっている行為 であることを、 忘れないで ほしいものです。 そうでなけれけば、 『思いあがった正義』で 心を武装した「環境保護」は、 ときに 「人間さんの社会」自体や、 「われわれ 他生物」にまでも、 平気で『攻撃』を しかけてくる存在 に なりかねないからです。 |