■ あの日、ふき が見たものは 3

僕らは まるで…(9/9)





あの「くぼみ」の中の
小魚たち
は、まるで…


『 この宇宙の中の
僕ら人間 』

みたいだ…





自分たちの力では、

その空間から
抜け出すことは
決してできず、



生きのびられるか
どうかは、
自然の 偶然に
頼るしかない…





その偶然に
見放されたら、

あとは
閉鎖された空間の中で、

ただただ
干からびて死ぬのを
待つばかり
の、


ちっぽけな…

無意味な存在に
すぎない
んだ…







先ほどの
大きな鳥から感じた、

「ひたむきな まっすぐさ」
の 心地よい魅力も、


今の ふき には、

ただただ、
とても 白々しく、
空しい行為
にしか、

感じられなくなって
おりました…








そして、
駅に着くころには、

ふき の 中に、

ある『冷たい決意』
固まっておりました。




ふき の 住む街へと
走り出した電車は、

やがて、
遠くまで景色を
見渡せる高台
へと上り、

黙々と無機質に
疾走していきます…




ふき は その窓から、

もう 自分の人生で
最後になるであろう、
美しい あの海の姿
を、

とても 空虚な気持ちで、
見つめていたのでした…









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