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そんな事が… ふきさんに あったんですか… | |
あの日の出来事を ポツポツと、 しかし、 じょじょに鮮明に 思い出しながら、 ここまで語ってきた ふき は… ここで一息をついて、 うなずきました。 | |
うん… 僕にとっては、あの 『 海辺の岩の くぼみ 』は、 本当にショックな光景 だったんだ… | |
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ということは、 ふきさんの お宅に うかがう前に、 私と ミューラーさんが 立ち寄った、 あの「岩の柱」が… | |
かみね の 言葉に、 今度は ミューラー が しずかに うなずきました。 | |
その通りです。 ふきくんの 語ってくださった 『 海辺の岩 』です。 | |
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私は、 キツネのおじいさんから 高い知性をいただいて、 さまざまな事々を学び、 気づけるようになる中で、 あの日の ふきくんが、 「くぼみ」の中の 小魚たちを助け出そうと 必死になっていた ことを ハッキリと理解し… とても大きな 驚き に 打たれました。 | |
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…というのも、 今までの私にとって、 他の生物というものは、 ほぼ全てが 「外敵」か「食物」 でしかなかった からです。 | |
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まー、それが あたしら「動物」の 普通の感覚だもんね。 | |
ネック の 言葉に、 ミューラー は あらためて うなずきました。 | |
なのに 人間さんは… ふきくんは、 私たちと同じ 「動物」でありながら、 『 損得を 度外視して、 他生物の命を助ける 』 という概念を 持ち合わせている… | |
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この事実は、 私にとって、 まさに 衝撃 でした。 | |
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