■ ふきの 悲しい決断(2/6)





それは あたかも、

人間さんたちが
『 地球最高の知性を持つ 生物 』
として 存在しつづけている
本当の理由を、

理屈ではなく
「現実の現象」として
目(ま)のあたりにした…



そんな心地でした。





その瞬間から
私の中に、

ふきくんを はじめとする
「人間の皆さん」への、

深い尊敬の思い
湧き上がったのです。





話を聞いていた ふき は、

照れくさそうに
頭をかきつつも、


ミューラー に、
こう 質問しました。




それで…
ミューラーさん。


結局、あの 小魚たち

あの後、
助かったんですか?





ふき の 疑問に、

しかし ミューラーは、

寂しそうに
首をふりました。




いえ…

数日後に上空から
見たときには、

すでに
「くぼみ」の中の海水は
無くなっておりました。



かみねさんと
見に行ったときも、

同様でした。





かわいそうですが、

小魚たちは、
海水とともに…


「くぼみ」の中で
干からびてしまった

のだと思います。





予想した言葉では
ありましたが、

ふき寂しそうに
うなずくのでした。







かみね も また、

悲しそうにナナメ下を
見ていたのですが…


ふと 気がついて、
ふき に たずねました。




そういえば ふきさん、

旅先で
何かを決意して
この街に戻って
いらしたんですよね?


一体、何を
決意されたんですか?





ふき
ハッと顔をあげて、

じょじょに 明確に
よみがえりつつある
自分の記憶
をたどり、


とぎれとぎれに
話を続けました。









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