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それは あたかも、 人間さんたちが 『 地球最高の知性を持つ 生物 』 として 存在しつづけている 本当の理由を、 理屈ではなく 「現実の現象」として 目(ま)のあたりにした… そんな心地でした。 | |
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その瞬間から 私の中に、 ふきくんを はじめとする 「人間の皆さん」への、 深い尊敬の思い が 湧き上がったのです。 | |
話を聞いていた ふき は、 照れくさそうに 頭をかきつつも、 ミューラー に、 こう 質問しました。 | |
それで… ミューラーさん。 結局、あの 小魚たち… あの後、 助かったんですか? | |
ふき の 疑問に、 しかし ミューラーは、 寂しそうに 首をふりました。 | |
いえ… 数日後に上空から 見たときには、 すでに 「くぼみ」の中の海水は 無くなっておりました。 かみねさんと 見に行ったときも、 同様でした。 | |
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かわいそうですが、 小魚たちは、 海水とともに… 「くぼみ」の中で 干からびてしまった のだと思います。 | |
予想した言葉では ありましたが、 ふき は 寂しそうに うなずくのでした。 かみね も また、 悲しそうにナナメ下を 見ていたのですが… ふと 気がついて、 ふき に たずねました。 | |
そういえば ふきさん、 旅先で 何かを決意して、 この街に戻って いらしたんですよね? 一体、何を 決意されたんですか? | |
ふき は ハッと顔をあげて、 じょじょに 明確に よみがえりつつある 自分の記憶 をたどり、 とぎれとぎれに 話を続けました。 |