■ ネックの望んだ、最後の願い 1(1/8)





飽きもせず 寒いよねー、

「冬」ってのは さ。




小さな白猫の ネック は、
そう言いながら 身ぶるいし、

白いツヤツヤした毛を
逆立てました。




どーも 苦手なのよね。

いくつになっても、
この 冬の寒さってやつは…




都内の この公園も、

1月に入って
冬本番という感じです。


ただ、今日は
風も おだやかで、

いつもほどの 厳しい寒さは
感じません
が…






ネック は、

地面などよりは
いくぶん 寒さのゆるい
木のベンチ の上に
チョコンと座り、

オレンジから 青へと
移りつつある夕空

眺めています。





あたしたちの住んでる
この公園だけ、

1年中、「春」みたいな
ポカポカ陽気にするとか さ…





そーゆー『願い』
かなえられないの?

じいさん





ネック が突然、

頭上に広がる
木々の枝
を見上げて、
そんなことを言いました。



すると、

何もないはずの
そこから、

落ち着いた、
しかし 申し訳なさそうな声が
降りてきました。





すまんのぉ…


そんな
大それた『神通力』は、

わしらは
持っておらんのじゃ…





その言葉に
特に感想もなく、

ネック は 再び、
暮れゆく夕空に
視線を戻します。






キツネの神さま
神通力で できることは、
実は そんなに多くない」…



3年前に、

この 神さま から
『3つの願い』をもらった
ネック にとって、

正直 それは、
分かり切ったことでした。






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