| |
飽きもせず 寒いよねー、 「冬」ってのは さ。 | |
小さな白猫の ネック は、 そう言いながら 身ぶるいし、 白いツヤツヤした毛を 逆立てました。 | |
どーも 苦手なのよね。 いくつになっても、 この 冬の寒さってやつは… | |
都内の この公園も、 1月に入って 冬本番という感じです。 ただ、今日は 風も おだやかで、 いつもほどの 厳しい寒さは 感じませんが… | |
| |
ネック は、 地面などよりは いくぶん 寒さのゆるい 木のベンチ の上に チョコンと座り、 オレンジから 青へと 移りつつある夕空 を 眺めています。 | |
あたしたちの住んでる この公園だけ、 1年中、「春」みたいな ポカポカ陽気にするとか さ… | |
| |
そーゆー『願い』は かなえられないの? じいさん。 | |
ネック が突然、 頭上に広がる 木々の枝を見上げて、 そんなことを言いました。 すると、 何もないはずの そこから、 落ち着いた、 しかし 申し訳なさそうな声が 降りてきました。 | |
すまんのぉ… そんな 大それた『神通力』は、 わしらは 持っておらんのじゃ… | |
その言葉に 特に感想もなく、 ネック は 再び、 暮れゆく夕空に 視線を戻します。 「キツネの神さま の 神通力で できることは、 実は そんなに多くない」… 3年前に、 この 神さま から 『3つの願い』をもらった ネック にとって、 正直 それは、 分かり切ったことでした。 |