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それにじゃ… | |
夕空を眺めている ネック の 後姿に、 キツネの おじいさん は 続けました。 | |
そんな事に 「3つ目の願い」を 使ってしまっては、 『おぬしの 長生き のために使う分』が 無くなって しまうじゃろうて。 | |
もちろん キツネの おじいさん も、 ネック が 本気で 「1年中 春にして」と 言ったわけではない事は 分かっておりました。 …ただ、 ネック からは、 ちょっと 意外な答え が 返ってきたのです。 | |
その事なんだけど、さ… なーんか 今イチ、 魅力を感じないのよ。 『長い寿命』って やつに。 | |
キョトンとした 顔つきになった おじいさん に かまわず、 夕空を眺めたまま、 ネック は 続けます。 | |
あたしは 死んだら、 「3つ目の願い」の効果で、 じいさんたちみたいな 『神さま』になるんでしょ? | |
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そうじゃ。 残念ながら 「神通力」などは使えんが、 おぬしら「生物」とは また違った存在になる… | |
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病気にも ならず、 今後 500年ほどは 十分に生きれるじゃろうて。 | |
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あたしは 別に、 「神通力」なんて いらないよ。 ただ、ね… | |
ネック が 苦笑しながら振り返り、 頭上に浮かぶ キツネの おじいさん を 見上げました。 | |
「寿命」ばっかり たくさん もらっても、 『だから何?』って 感じなのよね。 | |
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