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これから どんなに 長生きしても、 もう あたしが、 他の誰にも見えなくなって、 もう世の中の 何にも 関われなくなっちゃう ってのが… | |
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なんだろう… すごい寂しいっていうか、 『それって、 死んでるのと いっしょ なんじゃないの?』 みたく思えてきて、さ… | |
そう言いながらも ネック は、 自分の頭上で、 ちょっと さみしそうな 顔になっている キツネの おじいさん に気づき、 あわてて、 | |
あ、いや。 じいさんたち『神さま』が、 「死んでるのと いっしょ」って 言ってるわけじゃないよ? | |
と、言い足しました。 その言葉に、おじいさんは、 「良い良い」という感じに ほほえんで うなずきましたが… 何か思うところが あるようで、 静かに目を閉じたまま、 黙り込んでしまいました。 ネック も、 公園の入口のほうに 向きなおって、 なにか考えているのか、 いないのか… ゆったりと 目を細めるのでした。 2匹の周りに、 しばしの静寂が訪れた、 そのとき … 突然、ネック の背筋が ビビッ! と まっすぐに なりました。 驚いた キツネの おじいさん が 見おろすと、 ネック は その目を大きく見開き、 公園の入口を 凝視しています。 ネック の 視線の先には、 「会社帰りらしい サラリーマンの青年」が、 こちらに歩いてくる 姿が あります。 でも、 その青年の足取りが、 何か力無く トボトボとしていることに、 おじいさん は 違和感 を感じました。 |