■ ネックの望んだ、最後の願い 1(4/8)





『ふき』…




かたまっていた
ネック が、

そんな名前を
つぶやきました。





ふき」だよ…

あれ「ふき」だよ。


ウソみたい…

元気だったんだね!





言うが早いか ネックは、

ふきという青年の
足元に向かって、

普段 見せたこともないような
すばらしい速さ

駆け寄っていきました。





ふきっ!




ネック
そんな呼びかけは、

ふき を 含む人間たちには、

もちろん、
「にゃあ」としか
聞こえません。





懐かしいね、ふき

なんで長いこと
会いに来て
くれなかったの!?





ネック の 白い体が、

ふき の 足元を
なでるように、

スルリスルリと
美しく回転しています。





仕事が
忙しかったとか?


それか もう、
『将来の夢』ってやつを
かなえちゃったわけ?




自分の頭をウリウリと
ふき の 足元に
すりつけつつ、

ネック
キラキラとした目で
彼を見上げたのですが…






そのときになって、
ようやく ネック も、

ふき の 様子の おかしさ
に 気がつきました。






ふき は、
ほほえんでいたのです。




でもそれは、

とても寂しげな、

心の真ん中の ぬくもりを
どこかに落としてきて
しまったような、


力ない、

泣き笑いのような、
笑顔
でした。









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