ネック が、 ふき を見上げたまま とまどっていると… ふき は 静かに ネック を 抱き上げ、 先ほどまで ネック の座っていた、 誰もいない 木のベンチ に向かって 歩き出しました。 ベンチに腰かけた ふき は、 抱いていた ネック を、 静かに自分の膝の上に おろします。 そして しばらく、 力なく ネック の頭や背中を なでながら、 暮れゆく夕空を 見ていましたが… | |
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ポツリ… と、 こんな言葉を つぶやいたのでした。 | |
僕… もう 疲れちゃったよ。 ネックさん… | |
言われた意味が 分からず、 ふき のほうを見上げた ネック に、 ふき は とても力なく 長い ため息をついて、 ネック の小さな体を、 ギュ〜… と 抱きしめました。 | |
3年も ずーっと ここに 来れなかったのに、 僕のこと 憶えててくれて、 すごく うれしかったよ… 元気でね、 ネックさん。 | |
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さようなら… | |
そう言うと ふき は、 抱いていた ネック を 静かにベンチの上に おろし、 公園の端 に向かって、 トボトボと 歩き出したのでした。 |