■ ネックの望んだ、最後の願い 1(5/8)





ネック が、

ふき を見上げたまま
とまどっていると…





ふき は 静かに
ネック を 抱き上げ、

先ほどまで
ネック の座っていた、

誰もいない
木のベンチ に向かって
歩き出しました。




ベンチに腰かけた ふき は、

抱いていた ネック を、
静かに自分の膝の上に
おろします。






そして しばらく、

力なく
ネック の頭や背中を
なでながら、

暮れゆく夕空を
見ていましたが…







ポツリ… と、

こんな言葉を
つぶやいたのでした。





僕…

もう 疲れちゃったよ。

ネックさん…






言われた意味が
分からず、

ふき のほうを見上げた
ネック に、





ふき
とても力なく 長い
ため息をついて、


ネック の小さな体を、
ギュ〜… と
抱きしめました。





3年も ずーっと
ここに 来れなかったのに、

僕のこと
憶えててくれて、
すごく うれしかったよ…


元気でね、
ネックさん。






さようなら…






そう言うと ふき は、

抱いていた ネック
静かにベンチの上に おろし、


公園の端 に向かって、

トボトボと
歩き出したのでした。






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