■ ネックの望んだ、
最後の願い 1(6/8)





ネック は、

しばし 茫然と
していましたが、


ハッと気づいて
絶叫しました。




じいさんっ!!






ネック が 叫んだ瞬間、

ふき の 足の動きが
ピタリと停止しました。




ゆるやかに流れていた風や、

彼方の道路を
行きかっていた
人々 や 自動車 も、

写真のように
かたまっています。




音すらも かたまり、

耳が変になったような無音
ネック を 包みました。





全てが
止まってしまった中で、

ネック が、
ふき の 足元に駆けより、

ふき神さま の 顔を、
交互にオロオロと
見上げています。






そして、

神通力で この
「時間の止まった 不思議な空間」
をつくった
キツネの おじいさん が、


ネックふき
悲しそうに
見つめるのでした。





「人間」というのは…

不思議なものじゃ。





神さま
寂しそうな顔で、

ポツリポツリと
話しはじめました。





この地球上において
「ズバ抜けた知性」
持つ生物である一方で…


生物にとって
最も重要であるはずの
『自分の命』を

ときに、自らの判断で
捨ててしまったりもする…





キツネの 神さま には、

ふき の 思い」が、
神通力で見えているようです。





この公園の端にある、
「立ち入り禁止」の敷地


あのあたりは、

近々 埋め立てて
整備されるそうじゃが…






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