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あそこにある、 古びた 深い深い「井戸」に、 夜 コッソリ 身を投げてしまえば、 「誰にも見つからず、 誰にも迷惑をかけずに、 自分の命を 終わらせることができる」… と 考えたらしい。 | |
ネック は、 暗い暗い穴の中に 落ちていく 悲しそうな ふき を 想像して、 半泣きの顔のまま、 ふき の 足元に しがみつきました。 | |
死んで 土になるのなら、 せめて、 『自分が まだ夢いっぱいで 一番 輝いていた、 一番 良い思い出のある この公園』で… と、 | |
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ふき は、 そう 考えたようじゃ… | |
ネック の 脳裏に、 3年前の ふき の 輝くような まっすぐな目と、 その口から語られた「夢」 が よみがえりました。 あの頃の ネック は、 まだ、人間の言葉が 分かるようになったばかりで、 知識も浅く、 正直、ふき の 語る話は ほとんど理解できなかった のですが… ふき の まっすぐな熱意 には、 それを聞く ネック にも、 なにか「未来」のようなものを… 「自分も がんばって生きて、 いつか それを いっしょに見てみたい」 という思いを わかせる力が あったのでした。 | |
ところで、じいさん。 さっき言ってた、 ふき の 『この公園での 良い思い出』 ってのは…? | |
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