■ 再び、ここから
始める ふき(4/4)

『自分の命だからこそ、自分が本心から
「やりたい」と思うことに使う』






それにしても…

不思議 ですね。





ネックふき の姿に
少し涙ぐみつつも、

かみね
首をかしげました。





どうして ふきさんは、

他の人間さんなら
大して気にも止めない

ような、

『遠い未来の 絶望的な事実』
にまで、

思考が行ってしまった
のでしょう…?





それに、どうして
ネックさんは、

そこまでして
ふきさんに

ご自身が 身につけた
『生きるための知識』を
伝えようとした

のでしょう?





もちろん、
ネックさんに とって、
ふきさんが、

昔からの
『とても大切な お知り合い』
だったことは
分かるのですが…





問われて、

ふきネック も、
首をかしげました。





たしかにね…


言われてみると、
自分でも、そこんとこは
不思議
なのよ。






僕もだよ…

『いつか 宇宙が無くなる』
って 話自体は、

実は 子供のころから
星の本で読んで

なんとなくは知っていたし、

一時期 ものすごく
怯えてもいた
んだ。





それが、

中学・高校・大学へと
進むにしたがって、

不思議と それほど
気にならなく
なって…





なのに、

今の会社で
働くようになって
1年ぐらいした頃
から、

急に、それが
『ものすごく 絶望的なもの』
だっていう事実が、

シンシンと
実感されるように
なってきちゃって…





それで、

どうにもこうにも、
耐えられなくなって、

『自殺』を考えるように
なっちゃったんだ…






1人と2匹は
顔を見合わせたまま、

首をかしげて
しまいました。






すると、

それまで うつむいて
ネックたちの話を
深く聞き入っていた
ミューラーが、

フッと 顔をあげました。





私…

その原因が
分かるような気がします。





ふきくん の 絶望が
ここまで深くなった理由
や、

ネックさんの熱意の
根底にあるもの
が…





みんなの視線が、

ミューラー
集まりました。


    






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