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それにしても… 不思議 ですね。 | |
ネック と ふき の姿に 少し涙ぐみつつも、 かみね は 首をかしげました。 | |
どうして ふきさんは、 他の人間さんなら 大して気にも止めない ような、 『遠い未来の 絶望的な事実』 にまで、 思考が行ってしまった のでしょう…? | |
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それに、どうして ネックさんは、 そこまでして ふきさんに ご自身が 身につけた 『生きるための知識』を 伝えようとした のでしょう? | |
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もちろん、 ネックさんに とって、 ふきさんが、 昔からの 『とても大切な お知り合い』 だったことは 分かるのですが… | |
問われて、 ふき と ネック も、 首をかしげました。 | |
たしかにね… 言われてみると、 自分でも、そこんとこは 不思議 なのよ。 | |
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僕もだよ… 『いつか 宇宙が無くなる』 って 話自体は、 実は 子供のころから 星の本で読んで、 なんとなくは知っていたし、 一時期 ものすごく 怯えてもいた んだ。 | |
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それが、 中学・高校・大学へと 進むにしたがって、 不思議と それほど 気にならなくなって… | |
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なのに、 今の会社で 働くようになって 1年ぐらいした頃から、 急に、それが 『ものすごく 絶望的なもの』 だっていう事実が、 シンシンと 実感されるように なってきちゃって… | |
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それで、 どうにもこうにも、 耐えられなくなって、 『自殺』を考えるように なっちゃったんだ… | |
1人と2匹は 顔を見合わせたまま、 首をかしげて しまいました。 すると、 それまで うつむいて ネックたちの話を 深く聞き入っていた ミューラーが、 フッと 顔をあげました。 | |
私… その原因が 分かるような気がします。 | |
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ふきくん の 絶望が ここまで深くなった理由 や、 ネックさんの熱意の 根底にあるもの が… | |
みんなの視線が、 ミューラー に 集まりました。 |